イザヤ書を新たに学んで - - 見出しの活用など - -

　2022年９月上旬～10月上旬にわたり、日曜学校の読書課程にそって参考書や原語を参照しながら幾つか新しく知ったことがあったので、まとめてみたい。

[見出しの例]　

　今回、ビクター・L・ラドロー元BYU教授も提案しているように、章や段落毎に記されている見出しを書き出して、興味を引く大事な箇所に集中して丁寧に読むことにした。もちろん歴史的な背景や本文の文脈を大略把握して読むのである。時にはキーワードの原語の意味を確認した。

[ステンドグラスに描かれたイザヤ。米南カロライナにあるルーテル教会。]

　イザヤ書が難解である理由について、教会の若人向けニュー・エラ誌が「ふんだんに象徴を用いた表現があること」を一つあげていた。イザヤのいた時代と彼が直面していた問題が背景にあり、それを起点としていて、併せて預言の先見性によって後代に成就する - - あるいは適用できる - - 言葉が盛られている、と続けている。預言によっては二度以上の成就、適用があり得るというわけである。(New Era, 2012.03) [適用、applicationというのは、聖典の言葉を自分に当てはめて理解すること]

　一般にキリスト教徒（ldsを含む）は、イエス・キリストの降臨によってイザヤの預言が成就したと信じているが、イザヤ当時のイスラエル人をも当然対象として書かれていたことを思い起こさせてくれる。

　もう一つ気づいたのは、教会が出している手引き「わたしに従って来なさい」に、預言書は預言者(ナービー)が自分で書いたものもあれば(例、6章、イザヤの召命)、また残された言葉を弟子や継承者が後に記録し編纂したものも多くを占めている(手引き「わたしに従って・・」p. 163 )と注記していることであった。言い換えると、第一イザヤ、第二イザヤ、第三イザヤの可能性を示唆していると言える。教会は注の形で学究的な知見を受け入れ始めているように見える。

　私は旧約聖書にイスラエル以外の民にも救いが及ぶ、という普遍性を感じさせる箇所を見て安堵していたが、この度、逆にイスラエル（ユダヤ人）の政治的・宗教的覇権（優位）につながるという懸念を感じるに至った。（上村静「宗教の倒錯」68頁、関根正雄「イザヤ書下」173頁）。これは同じワードに集うある古参会員と話していて、話題となり意気投合したことであった。