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おすすめ本 田坂広志著『官邸から見た原発事故の真実 これから始まる真の危機』 (光文社新書 920円)  

2012年03月12日 | おすすめ本
昨年の「絆」ブームはどこへやら、各地の自治体では被災地のガレキ受け入れを巡って、住民たちの「反乱」に手を焼いています。いち早く受け入れを開始した首都の知事は、「政府が先頭に立って、各自治体に割り当てろ」と云っています。法令をつくれとの声さえあります。どじょう内閣の野田政権は、なかなか地上に顔をみせないもどかしさはありますが、担当大臣の細野豪志氏(40歳)は、上から目線は自分の政治手法ではないとして、「説得」によって解決を図りたいと云っています。
住民の不信の原因はどこにあるか。この本を読めば答は書いてあります。つまり政治と国民との「信頼関係」が大事と著者は言っています。長年の原発の安全神話からの「裏切り」と、フクシマ事故後の政府の対応の拙さや東電の不実は、国民に根強い不信感を与えてしまった、ということです。何事も信頼がなければ、「信用」が生じない。理の理ですね。小さな子をもつ親ならなおさらです。
著者が、再三強調するのは、「安全」を語ることの自己催眠であり、「人的、組織的、制度的、文化的要因こそが原因」とるす検証をしっかりすることが、これからの全ての基礎になるとの指摘である。
著者は、東大工学部で原子力工学を学び、医学部では放射線健康管理学を学んだ、福島事故までは自ら「原発推進派」だったと述懐する科学者です。現在の職業は多摩大学教授と、シンクタンク・ソフィアバンク代表と書いてありますが、菅内閣で内閣官房参与として原発事故への対応に当たった人です。菅のバカ、枝野の嘘つきと言い張るのも結構ですが、ときに当時の官邸を覗いてみてはいかが? (0999)