しまいびと

独立型ケアマネジャー兼、終活を専門とするファイナンシャルプランナーです。

自己決定の尊重と倫理的ジレンマ

2021-05-09 | 日記
前々回もお伝えしたように、
私は以前ホテルマンでした。

高校卒業後、
18歳から23歳までおおむね5年間ほど、
ホテル業界に従事していました。

いろいろな部署を経験しましたが、
一番長く配属されていたのは『バー』です。

私がバーテンダーだったときに、
先輩から、ふとこんなことを言われました。

【先輩】「医者からお酒を止められている人が、
どうしても飲みたいってお客さんとして来たらどうする?」
【私】「そりゃ、
そこまでして来てくれたならお酒を出しますよ!」

若いバーテンダー2人の何気ない会話でした。
バーテンダーとして何が正解かは置いておくとして、
この会話は今でもときおり思い出します。

ケアマネジャーとして、
このようなシチュエーションがよくあるからです。

例えば、
○お酒やタバコを止められている人がどうしてもやめられない。
○糖尿病の人が食事制限できない。
○もうどうなってもいいからと薬を飲まない。

このような場合、
ケアマネジャーとしては、
主観的最善の利益を意識しながらも、
個々に合わせた対応を考えます。
(主観的最善の利益については過去の記事をご参照下さい。)

単独で決めることができない場合も多く、
主治医の先生や看護師、ヘルパーなどと相談しながら、
そのときの最善の対応を考えていきます。

ただ、
漠然と好きなことを我慢することは、
とても難しいことだということは理解できます。

例えば、
健康のためにお酒やタバコや甘いものなどを
我慢しなければならないとすれば、
我慢した先に何か目標がなければ
途中で挫折する可能性が高くなります。

また、
簡単に「お酒やタバコは体に悪いからやめて下さい!」
というような言い方をすれば、
一気に信頼関係が崩れることもあり得ます。

このような相談援助を行うに当たっては、
動機づけを含めた支援がとても大切になります。
ただ、
言うは易しでなかなか思う通りにはいかないのですが。

話は変わりますが、
感染拡大が止まらず、
ほとんどの人が長期間自粛している中、
やはり我慢できない人たちもいます。

我慢できない人に、
自粛して下さいと言い続けても難しいと思います。
政治において、
強制ができない以上、
我慢できない人が我慢する気になる動機づけを行うのも
必要なことなのかもしれません。

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