スケール号はピンクの流れを下って行く。すると突然、流れがどす黒い紫色に変わった。
「気持ちの悪い色だスな。」
「ここでピピに何かが起こったのでしょうか。」
スケール号がペロッと紫の流れをなめた。するとスクリーンに薄暗い映像が浮かび上がった。動かなくなったお父さんと、泣いているお母さんの姿、そしてピピのさみしそうに立ち尽くす姿がスライドのように映し出された。
「お父さんが死んだんだ。かわいそうに。」ぴょんたが言った。
突然スクリーンから声が流れて来た。
「あれに乗りたいよー」メリーゴーランドが回っている。
「だめです、お母さんは許しません。」
「お母さんは許しません。」
「お母さんは許しません。」
「お母さんは許しません。」
「いやーっ」メリーゴーランドで遊ぶ楽しそうな子供達の笑顔がスクリーンに映し出された。
「お母さんは許しません。」
「お母さんは許しません。」
「お母さんは許しません。」
映像が乱れ、ピピは泣きじゃくっている。
「これは何なのですか。」艦長が博士に聞いた。
「分からない、しかし激しい怒りが渦巻いている。ギュウギュウに押さえ付けられて爆発寸前の激しい怒りだ。これがピピの正しい流れをさえぎっているのだ。」
「博士、もしかしてピピはおばあさんの子供の頃の姿なんだスか。」
「よく気づいたね、そうなんだ、ピピはおばあさんの子供の頃の記憶なんだ。それがいまだに激しく動いている。流れが止められたままなのだ。かわいそうに。」
「どうすればいいのですか。」ぴょんたが聞いた。
「あの怒りを取ってやるしか方法はないだろう。」博士は言った。
はたしてそんなことが出来るのだろうか。
マイホームページ入り口 プチッと押してブログの応援お願いします
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます