のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

スケール号の冒険21

2008-06-13 | 童話 スケール号の冒険(第3話)

六、天使のムカエル

 きれいなピンクの流れから、どす黒い紫色に淀んで変色した場所で、スケール号はピピの思わぬ過去を見てしまった。
 ピピは子供のころの遊園地の思い出の中に閉じ込められているようだった。とても乗りたかったメリーゴーランドに乗せてもらえなかった事が、ピピの心に思わぬ障害となって残っているようだった。 
その時、空の方から流れ星のような白い光がスーッと走って、紫の淀んだ流れの中に飛び込んだ。すると間もなく、どす黒い紫色の淀みが白い光の飛び込んだ部分を中心にして、波紋を広げるようにきれいなピンクの色に変わり始めた。
 「あれは何ですか。」艦長が博士に聞こうとした時、白い光の後を追うようにして黒い雲が、そのピンクの波紋をめがけて飛んで来たのだ。
 黒い雲はムクムクと広がって渦巻き、白い光をおおい隠そうとした。白い光は紫の川から飛び上がり、黒雲から逃れるように身をくねらせて上空に舞い上がった。空の上で態勢を立て直した白い光は刃に変身して黒雲を攻撃した。
 切りつけられた黒雲は平然としてこたえない。そればかりか突進してくる刃に黒雲がまとわりついて離れようとせず、ついに白い光りは完全に黒雲に取り込まれてしまった。黒雲は次々と押し寄せ不気味な竜巻になって白い光を責め立てた。白い光は悲鳴を上げて押し潰され、小さなかたまりになって干からび、海の上に捨てられた。 
「博士。」艦長が声を上げたが、博士は返事をしなかった。しばらく声を出す者はだれもいなかった。
黒い竜巻は身をくねらせて移動し、ピンクの流れに突進した。ピンクの川の底から、悲しげな叫び声が聞こえた。
「たすけてー」助けを求める声とともに、黒い竜巻の先端がピンクの光を空の方に押し上げ始めた。
「いやだー」
 黒雲に取り巻かれたピンクのかたまりが逃れようと動いた。それをさらに取り囲むように黒雲が激しく動き始める。ピンクのかたまりが黒雲に取り囲まれる一瞬、ピンクのかたまりはピピの姿になって両手を空に向かって広げ、助けを求めた。
 「あっ、ピピ!」ぴょんたが叫んだ。
 しかし次の瞬間にはもうピンクの光りは見えなかった。そして黒雲はまるで竜のように身をくねらせて空高く飛び去って行った。


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