のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

スケール号の冒険24

2008-06-16 | 童話 スケール号の冒険(第3話)

七、黒いエネルギーの海

 スケール号が宇宙のような真空の空を飛んでいる。目の下に広がる緑色のエネルギーの海には、一本の川が流れている。ピンクの流れが上流でせき止められて紫色に変色している。その紫がどんどん上流に迫って来ていた。今にも闇の中に消え入りそうなピピの心の川だ。  
天使ムカエルの導きで、スケール号は、その川からさらに奥の方に向かっているのだ。
時おり海の上をパチパチと火花が飛び、海面が盛り上がって、たくさんの星くずを空に吹き上げた。金色に輝く星くず達は天空に広がり、しばらく星座のように輝いて、やがて流れ星のように海に降りそそいだ。
海に落ちた星くずは瞬間七色の光を放って沈んだかと思うと、ぷかぷかと海面に浮き上がって来た。そうして緑の海に溶け込むまで、金色の星くずはゆらゆらと海面を漂うのだ。
スケール号はそんなエネルギーの海を見ながら飛び続けた。やがて前方に地獄の入り口のように広がった真っ黒な海域が見えて来た。
「あれが黒い海です。」ムカエルがみんなに説明した。
「不気味でヤす。」
「何もかも吸い取られそうだスな。」
「あそこは悪魔の砦なのです。注意してください。すでに私達は気づかれています。激しい憎しみのエネルギーを感じます。」ムカエルが言った。
黒い海はゆっくりと渦巻いていた。まるで銀河系を墨で塗り潰したような形をしている。あるいは真っ黒な蛇がとぐろを巻いているようにも見える。その渦の中心にピンクの光が見えた。捕らえられたピピの良心にちがいない。そこから弱々しい悲鳴が聞こえるように感じられる。


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