仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

砂漠の流れ者

2018年05月12日 | ムービー
『砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード(The Ballad of Cable Hogue)』(1970年/サム・ペキンパー監督/アメリカ)を見た。
物語は、「アメリカ西部開拓時代の末期。砂金掘りのケーブル・ホーグ(ジェイソン・ロバーズ)は、仲間と思っていたタガート(L・Q・ジョーンズ)とボウエン(ストローザー・マーティン)にすべてを奪われ、砂漠のど真ん中に取り残された。水も無く砂漠をさ迷い、死を覚悟したホーグだったが、倒れた砂嵐の中で奇跡的に水源を発見し、命拾いをしたのだった。砂嵐が去り、落ち着いて辺りを見渡すと、近くを駅馬車が通る。聞くと、ジャッカス平原の辺り半径20マイルほどには中継駅がないので不便だということから、水場を作って商売をしようと考えた。そこへインチキ牧師のジョシュア・ダンカン(デビッド・ワーナー)という男が現れ・・・」という内容。
倒れながらも当てなく砂漠を歩き続けるホーグは、何度も神に話し掛ける。
「神様、罪を犯してきたが水をくれたら二度と悪いことはしません。本当です」
困った時の神頼みというのはおそらく誰でもするのだろうが、社会のルールなど守りそうにもない西部のワイルドな男が「二度と悪いことはしません」と言うのには笑ってしまった。
まぁ、これも神頼みのあるあるかもしれないが。
(^。^)
ジョシュアは胡散臭い男だったものの、ホーグは彼のおかげで助かった。
ジョシュアの助言に従って町の公有地管理事務所へ赴き、ひとり320エーカー購入できるという砂漠地法により、水源の土地を合法的に所有することができたのだから。
有り金をはたいて買えたのは、2エーカー(1エーカー当たり1ドル25セントという登記料)だけだったものの、「俺の土地だ!!」と大喜びだ。
(^_^)
絶体絶命から息を吹き返したホーグには、町で良い出会いが続いた。
銀行のクッシング頭取(ピーター・ホイットニー)は35ドルを借りたいというホーグに100ドルを融資し、娼婦のヒルディ(ステラ・スティーヴンス)は彼に頑張る気力を与えた。
また、駅馬車の会社を経営しているクイットナー(R・G・アームストロング)に一度は契約を断られたのだが、"ケーブルの泉"の隣接地で13日間掘り続けても水が出なかったものだから、諦めてホーグと契約するに至り、ホーグは正式に駅の経営者になった。
人生の深い谷に落ち、「俺もこれまでか」と一度は死を覚悟した男が駅の経営者になり、プレゼントされた星条旗を掲げ、帽子をとって殊勝に、かつ、神妙な面持ちで旗を見上げる。
モータリゼーションが始まる直前の時代を舞台とした、変化球的な西部劇であり、なかなか面白い作品だった。