仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

死神 / 柳家権太楼(三代目)

2018年06月18日 | エンタメ
落語『死神柳家権太楼(三代目)。
噺は、「僅かな額を工面できず、豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえとまで罵倒された男。大きな木で首を括って死んでしまおうとしたものの、どうすればいいのか分からないでいる所へ、シワだらけの爺さんが現れ、"教えてやろうか"と声を掛けてくる。"俺は死神。知らないだろうが俺とお前は深い縁があるんだ。仲良くしよう"と、金儲けの方法を教えてくれる。死神が聞いたら必ず寝ぐらに戻らなければならない掟があるという呪文を授かったその男は早速・・・」という内容。
死神が教えてくれたのは、「あじゃらかもくれんきゅーらいす、高安大関おめでとう」という呪文。
これには大笑いだ。
(^。^)
呪文を唱えて手をぽんぽんと叩くと、臥せっている病人の足元にいる死神がいなくなる。
名医から見放された病人でも奇跡的に回復し、そして高額の謝礼を受け取れるというまったく元手のかからない稼ぎ方だ。
これは、初代三遊亭圓朝(1839年~1900年)師匠が原作のとても重苦しく完成された噺ではあるのだが、所々の笑いのポイントでは演じる咄家がかなり好き勝手にできるようで、呪文の文句もその一つ。
また、下げについてもいろいろ変更が行われてもいるのだが、評論家によると、演者の柳家権太楼師匠は、『三遊亭圓朝全集』に代理として残されている二代目三遊亭金馬(1868年~1926年)師匠の口演速記を元として"現代風死神"の基本を作り再演した六代目三遊亭圓生(1900年~1979年)師匠の筋を尊重しているのだそうで、それはしいては作者・圓朝師匠の意図の通りに演じられているということだろうと解説している。
まぁ何にしても、これは仁左衛門的に結構好きな噺なのだが、"死神"とか"貧乏神"などが出てくる物語を好む自分って、あまり良くないのだろうなぁと、最近は思い始めている。
(^_^;)
落語とはいえ、もう少し前向きな噺を好きになるように心掛けよう。