仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

蠢動 - しゅんどう -

2018年10月20日 | ムービー
『蠢動 -しゅんどう-』(2013年/三上康雄監督)を見た。
物語は、「享保の大飢饉から3年あまり。ようやく藩の財政が持ち直してきた因幡藩に幕府から治水助成金の供出をせよとの命が下った。時を同じくして、公儀剣術指南役として松宮十三(目黒祐樹)が派遣されてきたが、城代家老・荒木源義(若林豪)のもとには松宮に不審な動きがあるとの報告が上がってきた。城代家老付用人・舟瀬太悟(中原丈雄)が部下に監視を命じたところ、隠し田、隠し村の存在を嗅ぎ付けられてしまったと知るのだった。一方、他の藩での剣術修行を希望する藩士・香川廣樹(脇崎智史)は、因幡藩剣術師範・原田大八郎(平岳大)からの許しは得られたものの、松宮からは許されなかった。そして、ある夜・・・」という内容。
ひたすら剣術を極めたいと願う香川の剣はとても荒々しく、荒木が見ている寒稽古の場でさえも、相手の草加貞平(金子栄章)に足を掛けて倒し、木刀で喉元を突こうとする。
それは勝負があったにも関わらず、友人・木村一浩(花田昇太朗)がその草加に痛め付けられたことに対しての対抗からだったが、これは誰からも許されなかった。
唯一、原田だけが香川の理解者であるようだったものの、城代家老や公儀剣術指南役に対しては強い意見など言えるはずもないのだった。
まぁこれは、封建時代ではなくても組織の中では仕方がないことだろうとは思うし、「己を守ることができるのは己だけだ」と言う香川はとにかく強引だ。
姉・香川由紀(さとう珠緒)は、「あなたは真っすぐすぎます」と言ってはいたが、少し度を越しているのかなぁという感じではある。
控えの場でもまるで犬が息をしているかのような息づかいなのには笑ってしまったくらいだ。
(^^;)
「修行をしたいのであれば今は我慢だ。我慢こそが真の強さ。お前を見ていると熱くなるばかりで燃え盛る火のようだ。火ではなく水だ。どのような時にでも澄みきった水のような剣。水のような澄みきった心でなくてはならない」との原田の助言も香川には届かないようだったのが残念だった。
これは、三上康雄監督自身の作品『蠢動』(1982年)をモチーフとして再構築した物語だそうだが、後半は、なかなかに迫力がある場面が連続していて、見ごたえがある作品だった。