『セッション(原題Whiplash)』(2014年/デミアン・チャゼル監督/アメリカ)を見た。
物語は、「偉大なドラマーになることを夢見ている19歳のアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、アメリカで最高水準にあるシェイファー音楽学校へと進学し、日々練習に打ち込んでいた。ある日、校内最高の指揮者として名高いテレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)が彼の音に興味を持ち、ニーマンは最高峰であるフレッチャーのスタジオ・バンドに招かれる事になったのだが・・・」という内容。
フレッチャーの指導は異常としか見えない。
明朝午前6時にスタジオ集合と言っておきながら、実際の集合時間は9時。
練習開始早々には、「音がずれている奴がいる。忌々しい」と言ってトロンボーンのメッツを追い出すが、メッツが教室の外に出てから「メッツはズレてない。お前だ、エリクソン」とぬけぬけと本当のことを言う。
休憩時間に「チャーリー・パーカーがバードになれたのはシンバルを投げられたからだ」とニーマンに持論を展開をしたあとの練習では、「テンポが違う」と椅子を投げつけ、ビンタをし、両親を侮辱し、ドラムセットすら放り投げて、ニーマンを追い込む。
同じ場所にいる他の学生達は終始うつむいていて誰も何も言えない。
彼の指導は度を越していると判断するしかないし、相手を人間として扱っていないようだ。
壊れても替わりがある部品くらいにしか思っていなかったのではないだろうか。
さて、2018年のリアル日本では、3月に女子レスリングのオリンピック金メダリストであり、同4連覇中の伊調馨(いちょうかおり)選手が、高校時代から師弟関係にあった栄和人日本レスリング協会強化本部長(当時)兼至学館大学監督から陰湿なパワハラを受けていたとの告発があり、さらに、日本レスリング協会副会長兼至学館大学学長・谷岡郁子氏の反論会見では、「彼女は選手なんですか?」との暴言もあったりして、パワハラ問題に関する同協会や同大学の意識の欠如が明らかになる案件が世間を騒がした。
さらに5月には、日本大学アメリカンフットボール部の選手が、関西学院大学との定期戦で危険なタックル等の反則行為をした問題では、日本大学・内田正人監督(当時)兼同大常務理事の指示によるものではないか、加害選手を追い込んでコントロールしたのではないかとの疑惑が発覚し、スポーツ庁の鈴木大地長官が早速、「監督の辞任ではなく真相の究明を」と日本大学を非難するという事件も世間を騒がせている。
日本大学・内田正人監督(当時)は、自身からは何ら真相を明かさぬまま監督を辞任し、うやむやのうちに事件の収束を図ったのではないかと思えるし、同大常務理事との役職については本件とは無関係として辞任するつもりが無いとのことだが、彼が常務理事として同大学の人事を握っているために、大学内の人間は表立った批判ができない環境にあるとの報道もあり、その職のほうを辞任しないことで、自身が身内からも攻撃を受けないための防御としているのではないかと思えてしまう。
"いきすぎた指導"だったり、"パワハラ"だったり、人の上に立ってはいけないような人間性の持ち主が、その技術や成績のみの評価で、持ち上げられたり引き上げられたりした結果、次の世代の優秀な人材が潰されていく可能性があるのはとても理不尽だ。
本作品でフレッチャーを演じたJ・K・シモンズは、第87回アカデミー賞(2015年2月22日)で助演男優賞を受賞したとのこと。
演技の世界において、悪役や常軌を逸した人間を突き詰めていき、作品に登場する人間の人格を作り上げていくという作業は楽しいのだろう。
これはとても素晴らしい演技だったわけだが、現実世界においては、ハラスメントの類いの馬鹿な行為はやめてほしいものである。
物語は、「偉大なドラマーになることを夢見ている19歳のアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、アメリカで最高水準にあるシェイファー音楽学校へと進学し、日々練習に打ち込んでいた。ある日、校内最高の指揮者として名高いテレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)が彼の音に興味を持ち、ニーマンは最高峰であるフレッチャーのスタジオ・バンドに招かれる事になったのだが・・・」という内容。
フレッチャーの指導は異常としか見えない。
明朝午前6時にスタジオ集合と言っておきながら、実際の集合時間は9時。
練習開始早々には、「音がずれている奴がいる。忌々しい」と言ってトロンボーンのメッツを追い出すが、メッツが教室の外に出てから「メッツはズレてない。お前だ、エリクソン」とぬけぬけと本当のことを言う。
休憩時間に「チャーリー・パーカーがバードになれたのはシンバルを投げられたからだ」とニーマンに持論を展開をしたあとの練習では、「テンポが違う」と椅子を投げつけ、ビンタをし、両親を侮辱し、ドラムセットすら放り投げて、ニーマンを追い込む。
同じ場所にいる他の学生達は終始うつむいていて誰も何も言えない。
彼の指導は度を越していると判断するしかないし、相手を人間として扱っていないようだ。
壊れても替わりがある部品くらいにしか思っていなかったのではないだろうか。
さて、2018年のリアル日本では、3月に女子レスリングのオリンピック金メダリストであり、同4連覇中の伊調馨(いちょうかおり)選手が、高校時代から師弟関係にあった栄和人日本レスリング協会強化本部長(当時)兼至学館大学監督から陰湿なパワハラを受けていたとの告発があり、さらに、日本レスリング協会副会長兼至学館大学学長・谷岡郁子氏の反論会見では、「彼女は選手なんですか?」との暴言もあったりして、パワハラ問題に関する同協会や同大学の意識の欠如が明らかになる案件が世間を騒がした。
さらに5月には、日本大学アメリカンフットボール部の選手が、関西学院大学との定期戦で危険なタックル等の反則行為をした問題では、日本大学・内田正人監督(当時)兼同大常務理事の指示によるものではないか、加害選手を追い込んでコントロールしたのではないかとの疑惑が発覚し、スポーツ庁の鈴木大地長官が早速、「監督の辞任ではなく真相の究明を」と日本大学を非難するという事件も世間を騒がせている。
日本大学・内田正人監督(当時)は、自身からは何ら真相を明かさぬまま監督を辞任し、うやむやのうちに事件の収束を図ったのではないかと思えるし、同大常務理事との役職については本件とは無関係として辞任するつもりが無いとのことだが、彼が常務理事として同大学の人事を握っているために、大学内の人間は表立った批判ができない環境にあるとの報道もあり、その職のほうを辞任しないことで、自身が身内からも攻撃を受けないための防御としているのではないかと思えてしまう。
"いきすぎた指導"だったり、"パワハラ"だったり、人の上に立ってはいけないような人間性の持ち主が、その技術や成績のみの評価で、持ち上げられたり引き上げられたりした結果、次の世代の優秀な人材が潰されていく可能性があるのはとても理不尽だ。
本作品でフレッチャーを演じたJ・K・シモンズは、第87回アカデミー賞(2015年2月22日)で助演男優賞を受賞したとのこと。
演技の世界において、悪役や常軌を逸した人間を突き詰めていき、作品に登場する人間の人格を作り上げていくという作業は楽しいのだろう。
これはとても素晴らしい演技だったわけだが、現実世界においては、ハラスメントの類いの馬鹿な行為はやめてほしいものである。