仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

決算 ! 忠臣蔵

2021年11月06日 | ムービー
『決算 ! 忠臣蔵』(2019年/中村義洋監督)を観た。
物語は、「元禄14(1701)年3月14日、江戸城本丸大廊下(松の廊下)で吉良上野介に切りかかった浅野内匠頭(阿部サダヲ)は、幕府の命により即日切腹、赤穂藩は取り潰しとなった。その後、お家再興のため様々な努力を続けていた赤穂藩筆頭家老大石内蔵助(堤真一)だったが、祐海和尚(桂文珍)の裏切りもあり、いよいよ万策が尽きてしまう。しかし、藩士たちが熱望する仇討ちの決断もなかなかできずにいた。どんどん目減りしていく藩の残金で仇討ちは可能なのか。迷っているうちにさらに残金は減っていき・・・」という内容。
吉良上野介の屋敷に討ち入って主君の無念を晴らした赤穂浪士だが、その討ち入りに費やした資金は約七百両であり、現在の貨幣価値に換算すると約9,500万円なのだという。
当時、大石内蔵助は討ち入り決行までの準備期間に使用した費用のすべてを帳簿に記録していたそうで、その『預置候金銀請払帳』を元にした『忠臣蔵の決算書』(2012年/東京大学史料編纂所教授・山本博文著)がこの映画作品の原作。
大高源五(濱田岳)や堀部安兵衛(荒川良々)が江戸と京都を移動する度、画面にはその歩いている姿にデジタル処理で費用が重ねて映し出されるという演出が面白いし、矢頭長助(岡村隆史)や貝賀弥左衛門(小松利昌)といった勘定方が冷静に費用の計算をして、その報告の都度、内蔵助が愕然とし、仕舞いには、軍司ともいえる菅谷半之丞(妻夫木聡)が浪士を前に戦術の説明をする際、どんどん追加になる経費に「ちっ!!」と口を鳴らしてしまう内蔵助の様子には、これまでの忠臣蔵を題材とした作品で描かれていた姿とのギャップが大きくて笑ってしまう。
過去の"討ち入りもの"とはまったく視点が違っていること、また、浅野内匠頭が斬りかかる場面でも討ち入り決行の場面でも、吉良上野介が一切画面に出てこないのも斬新だった。
(^_^)