ナノ粒子を規則的に並べることは、ナノテクノロジーの基本操作の一つであるが、DNAが作る規則的な構造が利用出来ることや、DNAが自己アセンブリ(自己組織化)を助けることなどをすでに述べた(9/27,28参照)。
DNAとはディオキシヌクレオチドの高分子である。ディオキシヌクレオチドとは、ディオキシリボースとリン酸、塩基とから構成される核酸で、塩基には、A、G、C、Tと略記される4種類がある。この4種類の塩基を含むディオキシヌクレオチドの結合順序が遺伝情報を決める。ディオキシヌクレオチドの結合順序を決めることをDNAシークエンシングというが、生物学的ならびに医学的にきわめて重要である。
DNAシークエンシングにはすでに色々な方法が開発され、良好な結果れられているが、長時間を要することが欠点である。DNAをナノポァー(ナノサイズの孔,12/20参照)を通すとき、ナノポァーを持つ材料に誘起される電荷が、塩基の種類によって異なることが指摘されていた。最近、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の研究者が、ナノポァーを持つ窒化シリコンにシリコンナノワイヤートランジスタ(10/22参照)を組み合わせたデバイスを作成した。これにより、DNAをナノポァーを通過させるだけでシークエンシングが可能であることを証明した。この方法が確立すると、DNAシークエンシングが画期的に効率化されるであろう。
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