最近になって、Cientifica Ltd、RNCOS, Lux Research などのコンサルタント会社からナノテクノロジー市場に関するレポートが出版されている。いずれも高価で購入出来ないが、色々なニュースからその中身を垣間見ることが出来る。
RNCOSはバイオ・医療関係が急成長であると報じている。2013年にはその市場規模が75億ドルになると言われている。ナノテク全体で2015年に1兆ドルになると言われている(9/6,21参照)。バイオ・医療関係は安全性など問題が多いが急成長が期待されるとのことである。
バイオ・医療関係に対する我が国の対応が少し気にかかる。まず関連会社は世界中に350社ほどあるのに日本には1社しかない。日本に存在する会社は、大学発のベンチャー企業nanoCarrierである。新しく開発されたメッセンジャーRNAを破壊するsiRNAを患部にデリバーする技術(9/28,10/30参照)を開発している。
もう一つ気になることがある。最近経済協力開発機構(OECD)がナノ粒子の人類に対する影響査定に関する各国の活動状況の調査を行っている。オーストリア、フィンランド、ドイツ、韓国、ポーランド、イギリス、アメリカ、EUの報告があるが日本のは提出されていない。経済産業省にはナノテクノロジー・材料という部門があるが、厚生労働省にはナノテクノロジーを扱うグループが存在しないようだ。
ナノテクノロジーには、研究段階にある問題も多いが、製品化の段階にきているものも多くある。製品化には公私の投資が必要であろう。各国とも開発研究や製品化への支援・投資の予算額を増加しているように見受けられる。最近、三井ベンチャーがアメリカのGMZ Energy社に1400万ドルの投資を行っていると報じられている。日本では製品化に力が入っていないのだろうか(8/28-9/2参照)。
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