ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

持続可能な開発と ナノテクノロジー

2014-11-30 | 報道/ニュース

再びブログに投稿を続けることとした。相変わらずナノテクノロジーの最近の進歩についての情報を提供するが、今度はナノテクノロジーが世の中をどのように変えていくのであろうかという点に重点を置くことにする。

今から50年前、私はアメリカのプリンストン大学にいた。すでにIBMコンピューター360型が設置されていたが、コンピューターを使って計算するには、命令文を一つ一つカードにパンチしそれをコンピューターに読み込ませる必要があった。それが今ではどうだろう。当時のコンピューターより性能が高いコンピューターを手に持って、それを指先で制御出来るようになってしまった。コンピューターのこのような進歩は半導体技術の進歩による。20世紀は、このほか飛行機、車など科学技術の進歩がもたらした画期的な文明の進歩の時代と言えよう。

世界情勢の変化も著しい。19世紀の西欧列強の植民地獲得競争は終わりを告げ、現在ではかつての植民地であった地域が独立国となり、独立国数は19世紀末からほぼ4倍に増え、200国に達しようとしている。残念ながら、国家間の格差や国家内での格差が著しく、紛争やテロ行為が絶えない。しかも地球上の人口は増え続け、21世紀末には、現在の70億の2倍以上にも達すると言われている。

地球環境も悪化しつつある。過度の二酸化炭素の放出が地球温暖化現象をもたらし、最近多く見られる異常気象の原因とされている。北極南極の氷の溶解による海面の上昇が深刻な結果をもたらすと予想されている。

このような状況下で、21世紀に要望されるのが持続可能な開発(Sustainable Development, SD)である。最近の内閣府の調査によると日本ではあまりよく知られていないようではあるが、これは地球上に住むすべての人々が発達した文明の成果を享受でき、しかも地球環境を悪化させずさらに資源の枯渇を招くこともないという理想的なアクションプランである。地球上で人類が生存し続けるには、その達成が不可欠であると言っても言い過ぎではなかろう。21世紀はSDの世紀でなければならない。最近名古屋でユネスコのSDのための人材養成に関する会議が開催されたが、メディアは皇太子ご夫妻がその会議に出席されたということを報じるだけで、会議の内容については残念ながら十分報じられてない。

持続可能な開発を達成するにはさらなる技術開発が必要である。例えば現在でも海水の蒸留により、海水から真水を取り出すことは可能であるが、多大のエネルギーを必要とする。ナノテクノロジーの進歩によりより安価な海水からの真水生成法が実現しようとしている。SD実現のためのその効果は計り知れない。ナノテクノロジーは、エレクトロニクスのほかエネルギー、環境、医療などの分野において多くの可能性を秘め、SD達成のためにはナノテクノロジーにおけるイノベーションが不可欠である。

今後このブログでは、持続可能な開発問題を中心に、ナノテクノロジーの新しい進歩について述べていく。従来と同様にナノテクノロジーの基本的な問題については、ホームページにまとめておく。次回は海水から真水を作成する方法を述べる。

[注] SDの実現には、社会(society)、環境(environment)、経済(economy)の調和のとれた発展を必要とする。下図を参照にその概要が想像できよう。ここでbearable, equitable, viableはそれぞれ、耐えることが出来るが、公平性を保つことが出来るが、実現は可能であるが、とでも解釈するとどうだろう。

 

 

この図の日本版が下のサイトに掲載されている。
http://nortonsafe.search.ask.com/search?geo=JP&prt=360&locale=en_JP&o=15527&ver=21&chn=retail&q=%E6%8C%81%E7%B6%9A%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AA%E9%96%8B%E7%99%BA&tpr=10&ctype=pictures