ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

ナノテクノロジーと自動車産業

2012-06-26 | 報道/ニュース

The A to Z nanotechnology社のニュースに表記の標題のニュースがあった。トヨタがBMWと提携しようというニュースもあり、興味深そうなので紹介しておこう。ドイツ放送局のビデオ(英訳付)も付いている。ハイブリッド車や電気自動車などは含まれていない。
http://www.azonano.com/article.aspx?ArticleID=3031

自動車産業は、引き続き燃費の削減、自然環境の浄化、安全性および乗り心地の向上を目指すが、そのいずれにもナノテクノロジーの貢献が期待できるという。以前から自動車産業は傷や汚れが付きにくくまたついた傷をひとりでに修復するコーティングを模索してきた。このなかで現在製品化されているのは、硬くてかつ水をはじく(12/17参照)ポリマー/ナノ粒子合成材料である。また赤外線を反射するペイントも開発されている(10/23参照)。自己修復ができるペイントは目下開発途上にある(1/12参照)

粘着性の強いナノ接着剤もすでに実用化されている(3/7参照)。金属とプラスチックスなどを直接接着できるので車体の軽量化にも役立つという。また、タイヤの地面との接着性を増しかつ走行時の抵抗を少なくすることならびに耐久性向上のためカーボンやシリカが混入されているという。

水をはじくコーティングはウィンドシールドにも施されている。降水がそれほど激しくないときは、水滴が空気の流れによってはじき飛ばされワイパーが必要でないという。また同様のシールドをウィンドシールドの内部に施しておくと霜の付着を防ぐこともできる。ナノテクノロジーによってポリカーボネートをウィンドシールドに使用することが可能になりつつある。ポリカーボネートはガラスより軽く加工も簡単でウィンドシールドに利用しやすい。しかしながら傷がつきやすいという欠点がある。コーティングを施すことによってその欠点を補うことが試みられている。

車内で用いられている織物類をより強くまた汚れにくいものにしようとする試みがある。汚れが付きにくいフロロカーボンナノポリマーがVauxhall社やOpel Insignia社から市販されているという。


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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
社会実装中のナノテク(トライボロジー) (ジェットイノウエ)
2020-05-04 21:32:19
 まあこれはコロナウィルルス発生の混乱にも関わらず人類史的偉業になるだろう。ニュートンの万有引力の発見の当時ペストが流行っていた時代背景にも似ている。さて境界潤滑とは機械の潤滑油を介した摩擦であり、誰もがつかっているにも関わらず真剣に考えてこなかった。そのため実験結果はものすごくバラツキ、巷にはデマが飛び交い、特効薬が開発されてもそれがどうしてよくするのかも分からない世界がトライボロジーにおける問題点だった。
 それに果敢に挑戦しているのがダイセルリサーチセンター(島根大学より移籍)の久保田博士他数多くいるのも確かだ。あるトライボロジストはノーベル賞物理学者ヴォルフガングパウリの「表面は悪魔がつくり、結晶は神が作った。」という引用のもと、これを嘆くのだがCCSCモデルほど具体像を示せなかったのも事実だろう。
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人工知能時代のあらたな材料テクノロジー (GIC結晶ファン)
2020-08-14 10:41:36
 久保田邦親博士の講義資料「材料物理数学再武装」は人工知能の基礎としてとても興味深いもんです。一読しては如何でしょうか。
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トライボロジーの未来 (メタルケンイチ)
2020-08-16 11:20:44
最近の情報だと特殊鋼、新合金Xのピストンリングへの実装に成功し某自動車メーカーのエンジンに搭載されているようです。窒化レスでも最強らしい!
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ダイカスト関係 (ラマン分光ファン)
2020-09-11 16:25:40
博士の講義資料は工学の複数の学理を俯瞰し、人工知能に結び付けようとする関数接合論があり面白かったです。わたしは鋳造工学関係なのでクボリノフのしきも個人的にはきにいっています。
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企業倫理とはダイヤモンドを拝むことではない (正直者)
2020-11-07 11:05:45
博士の問いは哲学的。鋼材の品質バラツキを青筋立てて報告している品質保証関係の人間が多い中、バラツクものはバラツク。だったら何が異常で何が正常かを調べるため原理にさかのぼる必要がある。等確率の原理がそれにあたりそれから導き出されるのは正規分布。ほかに物理学にちゃんと立脚した確率密度関数はアレニウス式、これらの理想から偏している、破壊強度やワイブル関数。なぜ確率密度関数が理想から偏機してしまうのか。それは非線形だからという。
 この重み、タグチメソッド論者はどう見るのだろうか。
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ニューノーマル (ビジネスコンサル)
2020-11-20 13:13:46
その通りだと思うニューノーマル時代のリーダーを目指すものは参考にしたほうが良い。
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界面摩擦現象の重み (オイル関係)
2021-01-03 21:05:30
ダイセルはサステナブル経営戦略の一環として中国に巨大ポリアセタールプラント建設計画を公表。世界首位の足固めを行う。まさに進撃の巨人だ。
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ダイナミックな歴史の旋回 (マリンエンジニア)
2021-02-13 14:06:16
CCSCモデルは材料工学の目標変更を要請している。そのようなちっぽけな話ではない。今まさに特殊鋼いや機械工学の歴史が旋回しているのだ。それは日本海軍の東郷元帥が行ったT字戦法のようで旋回中は容易に静止目標となりやすい危険をはらんでいるからだ。しかしもその時代はすぎさりサステナブルな未来に共感するものにとって代わることによるパラダイムシフトが起こるであろう。
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まれにみる大思想家 (プラスチック関係)
2021-06-29 23:32:55
博士のSNSはとっても面白かった。経済学の父、国富論の著者アダムスミスの神の見えざる手を関数接合論を用いて計算し自由主義と共産主義の考察をおこなっていた。超学際的な視点では必ずしも競争原理だけが全体最適化の手法でないともいっている。
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材料強度学 (コメット)
2022-08-03 00:06:46
原子論と連続体力学の融合の歴史ですね。
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