太陽光発電に関して様々なニュースが飛び込んでくる。
アメリカのNatCore Technology社が、国立再生エネルギー研究所(NREL)の持つ特許を使ってブラックシリコン太陽光発電パネル(10/2,26参照)の開発ならびに製品化を進めることになった。ブラックシリコンは1980年ころから開発されているが、シリコンの反射係数を小さくし、出来るだけ多くの太陽光エネルギーを吸収させようとするものである。これまで開発されていたフラッグシリコンは、シリコンの表面に垂直に1ミクロン(1000ナノメーター)程度のシリコンの針を密にはやしたものである。この方法では、エネルギー吸収効率が必ずしも良くない。NRELが新しく開発した手法は、シリコンの表面にナノサイズの凹凸をつけたものである。反射係数が減少する理由は、孔の中で反射された光が再び吸収されるためである。この方法では、光が垂直に入射した場合だけではなく、斜めに入射した場合も反射係数が小さい。したがって1日中光エネルギーを有効に利用出来る。
NRELの開発した方法は、パネル表面を1000℃以上に加熱する必要がある。NatCore社は、液相堆積法と呼ばれる手法を採用する。これは、パネル表面にシリコンの液体を付着させることによって表面の凹凸をつけるもので、より低い温度で達成出来る。効率が2倍になると出力当りのコストが半分になるが、今後は効率と生産コストの競争となろう。
アメリカには2010年までに2500メガワットの太陽光発電パネルが設置されているが、2015年にはその1万倍になると予想されている。
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