本日の朝日新聞に、太陽光発電システムの価格が2020年には現在の4割に、2030年には6割になるであろうと報じられていた。研究面での進展も著しい。太陽光発電にはいくつかの方式があるが、どの方式が最も採算がとれるものになるかも問題だ。
これまでに、シリコン(10/2,25参照)、酸化チタンと色素(10/25参照)、有機材料(10/9参照)を用いた太陽光発電について説明した。現在市販されている太陽光発電パネルはアモルファスシリコン(10/6参照)を用いたもので、その効率はほぼ10%を少し超える程度であろう。
イギリスの科学技術誌ネイチャーの最近号に、スイスのグレツェル博士が酸化チタンと色素を用いた太陽光発電効率を、12.3%まで改善したと報じている。電解液に工夫を凝らした結果である。酸化チタンの価格が安いため、効率を15%まで改善すると、アモルファスシリコン太陽光パネルと競合出来ると述べている。
三洋電機の社内報で、結晶シリコン太陽光パネルで23%の効率を得たと報じられているが、その詳細は明らかでない。以前に(10/25参照)、アモルファスシリコンにシリコンナノワイヤーを付加して効率を上げる手法を述べたが、アメリカのイリノイ大学の研究グループは、結晶シリコン板の上に円錐状のシリコンを成長させ、18%の効率を得ることに成功している。
ベルギーのImec社は、ヨーロッパ各国の関連会社と手を組んで、ヨーロッパFP7プロジェクトX10Dを立ち上げている。ここでは、有機太陽光パネルの発電効率12%を目標に開発研究を進めている。
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