ナノテクノロジーニュース

ナノテクノロジーは日進月歩である。その全貌がわかるよう、日々飛びこんでくるニュースを中心に説明する。

閑話休題

2011-09-05 | 日記
「科学技術は人間の将来をどう変えるか」という表題を掲げながら、原子力発電、科学技術推進を阻害するかのような複雑な官僚機構、科学技術に弱いメディアなど、現実問題に始終してしまった。明日から少しずつ本題に戻ろうかと思っている。

それにしても、日本のメディアは余り将来を語らない。日本人の特性だろうか。日本沈没など暗い話は多いが、明るい話は少ない。1971年ニューヨークタイムス紙の「コンピューターの将来」という記事が目についた。初期のトランジスタ・コンピュータIBM-360が発売されたのは1964年である。まだ、コンピューターの恩恵に浴しているのはごく限られた人びとであった時代であるが、その記事には、「将来コンピューターがたばこ箱程度の大きさになり、人びとはネットで楽しむことができる」と書いてある。しかも、大型コンピューターは高性能化し、種々の目的に共同利用されるであろうとも書かれている。よく現実を物語っている。最近のアメリカの新聞論説にもナノテクノロジーに関する記事がしばしば見られる。

総理大臣がどのような日本を作り出そうとしているかはっきり示さないとよく言われる。メディアももっと将来を語るべきであろう。内外の専門家に依頼して将来の展望を述べてもらえばよい。これが学生たちを、また企業家や投資家を刺激し、経済発展につながるかもしれない。

専門家たちのいうことは必ずしも正しくないこともある。1960-1970年ころには、人類のエネルギー問題は核融合反応を利用することによって解決できると言われていた。核融合反応とは、二つの水素の原子核を融合させる反応で、核分裂反応と同様に多大のエネルギーを放出する。核分裂反応が放射性原子核を生成するのに対して、核融合反応によって生成されるヘリウム原子核は人畜無害である。しかしながら、反応の際に発生する中性子が周辺の物質を放射性物質に変えてしまう。核融合反応は太陽のエネルギー源になっている反応である。実験室の中で太陽のような高温の気体の集まりを作るのが困難で、なかなか成功しない。現在、ITER(国際熱核融合実験炉)と呼ばれる国際協力による実験施設がフランスに建設され稼働しているが、まだ成功の兆しは見えない。

ちなみに、太陽から地球に到達するエネルギーは全人類が消費するエネルギーの約1万倍にすぎない。現在使われている太陽光発電パネルの効率は約10%である。地球上の全エネルギーをまかなうためには、地球に到来する太陽光の1000分の1を利用しなければいけない。たとえ効率が100パーセントになっても、太陽光だけで地球上の全エネルギーをまかなうことは困難であろう。エネルギー問題は今後ますます国際的大問題となろう。

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