今年のノーベル物理学賞はフランスのSerge HarocheとアメリカのDavid J. Wineland両氏に授与されたが、彼らの研究はいずれもナノテクノロジーの目指す究極のコンピュータ、量子コンピューターの根幹となり得るものである。
現在使われているコンピューターのメモリは1ビット当たり0または1を識別出来るのにすぎない。量子コンピューターでは量子状態をメモリに用い、量子ビットと呼ばれている。0または1がが識出来る二つの量子状態が相互作用すると、絡み合いという現象の結果4この状態を識別出来る。このように1量子ビットでさらに数多くの情報を記憶することが可能となり、コンピューターの性能の格段の進歩が期待されている。
量子ビットとしてある状態の原子を用いることが出来る。しかし絡み合いによって生じる状態のエネルギー差は非常に小さいので、原子に記憶させた情報をそのまま読み取るには工夫が必要である。Wineland氏が開発した手法はレーザー冷却(laser cooling)と呼ばれる手法である。原子をレーザー光によって励起するがその時原子は光から圧力を受ける。レーザー光のエネルギーを励起に必要なエネルギーより少し小さくしておくと、ドップラー効果の作用によりレーザー光ビームの外側に動く原子がより強い圧力を受け、それによってレーザー光ビームの中心に引き寄せられる。その結果、原子の運動エネルギーがほとんど0になり情報が乱れることがない。
Haroche氏の手法は、原子ビームを磁界を加えた容器の中を通し、その際電磁波を加えて原子を所定の量子ビット状態にし、この状態を速やかに検出するという手法である。
このほかにも固体の中に混入した原子を量子ビットに用いようとする試みもある(3/1,10参照)。
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1 コメント
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- マルテンサイト千年イノベーション (グローバル鉄の道)
- 2024-09-01 16:48:57
- 最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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