ナノテクノロジーニュース

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日本のメディアは科学技術に弱い(続き)

2011-09-04 | 日記
原子力発電所の緊急安全対策(8/15参照)に対するメディアの対応も、その科学技術に対する弱さを露呈している。原子力保安員は3月末に各電力会社に地震・津波に対する緊急安全対策を講じるよう指示した。その結果を原子力保安員が検討・承認し、これを政府が認めた。メディアは各項目について、対策完了や準備中などと報じたのを覚えている。

しかしながらその対策は必ずしも十分ではなさそうである。たとえば再稼働が認められた泊原子力発電所や、認められそうになった玄海原子力発電所は、いずれも津波によって電源が水没する恐れがあることを認めている。その対策として非常用電源車を準備してあるから安全であるという。もし福島で電源が水没しなければあのような放射性物質のばらまきは生じなかったであろう。大地震のあとで非常用電源車がうまく機能する保証がない。メディアがこの点にまったく疑問を感じなかったことに不満を感じる。

EUのストレステストの仕様には、電源喪失への対処が詳細に記述されている。非常用電源車を用意しましたではとても合格しそうではない。どうして当事者国日本で速やかにこのような仕様書を作り対処しなかったのであろう。政治家、官僚、専門家ならびにメディアの怠慢である。

燃料貯蔵用プールが原子炉建やの高い階に設置されていることも気にかかるが、原子力保安員も日本のメディアも全く問題にしない。地震でプールの底に穴があき水が漏れると、燃料が過熱し収拾つかなくなる可能性がある。ニューヨークタイムス紙にもこのことが指摘されていた。BSフジプライムニュースで新潟県知事がこのことを取り上げていたが、司会者もまた同席していた専門家も全く無視してしまった。

メディアが、放射性物質量が基準値以下の食品は安全であるかのように報じるのも気にかかる。そもそもこの基準値は体内に吸収された放射性物質から受ける被爆量が外部被曝の許容値を超えないよう設定されたものである。しかしながら、外部被曝と体内に吸収された放射性物質から受ける内部被曝とではその影響が全く異なる(8/13参照)。しかも、色々な食品から吸収する放射性物質の蓄積も考慮されるべきであろう。

メディアは、政治家や官僚が述べることを丸のみしないで徹底的に疑問をぶつけるべきである。それは、メディアの人々の特権でありまた義務であろう。それに必要な科学技術的知識を持つことが要求される。

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