ナノテクノロジーに関するニュースにはいろいろな種類のものがある。ずっと将来を見据えると、一昨日述べたスーパーコンピューターよりはるかに高性能のコンピュータ、身体中を動き回り病気を発見し治癒するナノロボット(11/7参照)、宇宙ステーションへのエレベータ(10/30参照)などがあろう。基礎研究の中には、これらを達成するのに役に立つ新たな知見や、これらの部品となり得ると思われるものも多い。一方では、すでに商品化されているナノテクノロジー製品(9/21,10/11参照)も数多い。コーティングもその一例であるが、さらに新しい基礎・開発研究が、その性能を高め、また応用範囲を広げようとしている。
スイスのチューリヒ工科大学の研究者たちは、貝殻の構造を真似て新しい複合材料(12/15参照)の製法を開発した。一般に、複合材料は、プラスチックス、セラミックス、金属など性質の異なる材料を組み合わせた強く軽くかつ柔軟な材料など、特殊な性質をもった材料を作り出すのにしばしば用いられている。優れた性質を持つ複合材料作り出すには、素材を規則的に配列することが要求されるが、現在まであまり良い方法が見つかっていなかった。
これまで製品化されていた複合材料は、繊維を組み合わせて得たもので、繊維と繊維との間の結合力が十分強くない。これに対して、貝殻では、炭酸カルシウムの薄板が密にしかも一方向だけではなく3次元的に積み重ねられている。スイスの研究者たちは、アルミナ(酸化アルミニウム)などの硬い材料の薄板の表面に強磁性ナノ粒子(1/14参照)を付着させ、磁界を加えつつ薄板を積み重ね、3次元的な配列を構成することに成功した。彼らはすでに企業と協力して製品化を目指している。航空機や自動車さらには風車の羽などに利用出来るという。
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