ナノテクノロジーニュース

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プリンテッドエレクトロニクスに新展開:紙より薄いTVの出現が

2012-04-22 | 報道/ニュース

プラスチックスやペーパー上に機能を持ったインクを吹き付けて電子機器、有機太陽光発電パネルや有機LED(OLED)を作成する技術がプリンテッドエレクトロニクスと呼ばれている(2/23参照)。その製品の性能は半導体エレクトロニクス製品より劣るが、広い面積を取りやすいこと、薄くて柔軟なこと、製造が簡単なこと、価格が安いことなどの理由でその利用が広がっている。

太陽光発電パネルやOLEDには、有機半導体のpn接合の両端に電極を接着する必要がある(10/2,3参照)。電極には、通常金属やITOと呼ばれる酸化インジウム・錫が用いられる。後者は透明電極として広く用いられている。これら導体の中では、電子は自由に動けるが電子を導体の外へ取り出すにはエネルギーを要する。このエネルギーは仕事関数と呼ばれている。金属の中で仕事関数が小さいのは、ナトリウムなど反応性の強いものばかりで、仕事関数が小さく半導体中に電子を注入し易い電極が求められていた。

ジョージア工科大学の研究グループは、仕事関数が大きい金属や電気伝導性高分子を10nmの厚さの特定の有機物でコートすることによって、仕事関数が小さくなることを見つけた。金属に負の電界が加わると、コートした有機物内の電子が押し出されて表面から飛び出しやすくなるようだ。
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/04/120419143123.htm

この発見によってプリンテッドエレクトロニクス製品の生産過程が非常に簡単化されるという。ジョージア工科大学では、プラスチックスだけで太陽光発電パネルの製作に成功している。TVなど新製品が出現する可能性があるかもしれない。


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