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次世代エレクトロニクスの主役はグラフェンかシリセンか

2012-06-28 | 報道/ニュース

炭素原子で作られる単相の分子、グラフェン、は2004年に発見されて以来実に多くの研究が進められ興味深い性質が次々と明らかにされてきた(6/27および下表参照)。炭素原子と周期表の同じ族に属し(ホームページ2.1B2参照)、現在のエレクトロニクスの主役であるシリコンが作る同様の単相の分子、シリセン、は興味の対象となりながらほとんどその性質が明らかにされていなかった。

                        

シリセンに関しては、NECの研究グループの先駆的な理論研究に続きいくつかの理論研究があるが、その性質の実験的研究はほとんどなされていない。物質材料研究機構の研究グループは、シリコン上に成長させたボロンジルコニウム(ZrB2)の上にシリセンを形成することに成功した。この系を用いてシリセンの電気的性質の詳細を明らかにした。
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この研究結果でなによりも興味深いのは、シリセンが半導体的なことである。グラフェンは特殊な構造をもつグラフェンナノリボン(10/10参照)を除くと金属的である。エレクトロニクス材料は半導体であることが必要であろう。また、シリセンは、理論的研究の結果知られていたが、グラフェンと違って全く平たんではないことも明らかになった(上図参照)。この構造は支持台の材料を調整することによって容易に変化するものと予想される。半導体として禁止帯の幅(9/25,27参照)は重要な量であるが、シリセンの構造が変わると変化すると予測できるという。

この研究がきっかけになって、今後シリセンが新しい研究対象として脚光を浴びそうだ。


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