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二銭銅貨

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夫婦善哉

2006-03-11 | 邦画
夫婦善哉  ☆☆
1955.09.13 東宝、白黒、普通サイズ(だよね)
監督:豊田四郎、脚本:八住利雄、原作:織田作之助
出演:森繁久彌、淡島千景、司葉子、浪花千栄子

森繁久彌は船場、卸問屋のボンボン。
放蕩息子で、しまりがありません。
淡島千景はそんな森繁に、惚れてしまった芸者。
芸者をやめて森繁につくそうと一所懸命。

なのに、森繁は淡島千景が好きなのかどうなのか、
もっぱら、食い物にしか興味が無く、
食い物のことばかり考えている。
淡島千景より食い物の方が好きなのかなあ。

でも、何はともあれ、淡島千景の方は森繁が好きだし、
離れられない。

森繁はどうなんだろう?食い物は好きなんだけど、
結局、やっぱり淡島千景が好きなんです。

硬い男女の絆は容易な事では壊れません。
雪の法善寺、しっとりとしてます。
06.01.29 ラピュタ阿佐ヶ谷(メガネ忘れて、映像がボケボケだった)

赤線地帯

2006-03-10 | 邦画
赤線地帯  ☆☆
1956.03.18 大映(東京撮影所)、白黒、普通サイズ
監督:溝口健二、脚本:成沢昌茂、原作:(一部)芝木好子 「洲崎の女」
出演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子、町田博子

売春禁止法案が国会で提案され、なかなか通らなかった時期、
斜陽の吉原、そこで働く花街の女たちの生活を描いた映画。

初めて客をとる事になる新人の娘。あでやかな衣装。
道に出て、客を取らなきゃ。
でも、恥ずかしそう。
怖くて声が出ない。怖くて柱の陰に隠れる。
声が出せない。やっと、頑張って、頑張って、呼び込みの声を絞り出す。
恥ずかしそうな声。恥ずかしくてさらに隠れる。もっと隠れる。
でも、頑張らなきゃ。故郷の家族のために、金を作らなきゃ。

せつなく悲しい物語が五つ、縒り合わさっているけれど、
映像、音響、美術、衣装、俳優、どれだか分かりませんが、
何か、糖分が多い感じで、甘味のする映画です。

しっかりしすぎ、切れ味の良い若尾文子はクール。
金づかい荒くて、元気良く、はちきれそうな京マチ子は駄々っ子。
メガネのインテリ風、小暮実千代は苦労しすぎの所帯持ち。
大きくなった子供と一緒に暮らすのが夢、三益愛子はおかあさん。
普通に嫁に行って、普通に暮らしたい町田博子は借金多し。

それぞれのキャラクター、それぞれの物語、様々なエピソードを
よじり合わせて、甘く、せつない物語を作りました。
06.03.05 新文芸座

魚影の群れ

2006-03-07 | 邦画
魚影の群れ  ☆☆
1983.10.29 松竹富士、カラー、横長サイズ
監督:相米慎二、脚本:田中陽造、原作:吉村昭
出演:緒形拳、夏目雅子、十朱幸代、佐藤浩市

透き通る青い空、濃くて深い海。白いしぶきの中の白い漁船。
赤い漁師、透明なテグス、光る紺のマグロ。
テグスを通した漁師とマグロの長い闘い。
揺れる船。揺れる海。
漁師も疲れている。マグロも疲れている。
漁師の気持ち、マグロの気持ち、
哀しい闘いの結末。

別の、人々のドラマと、漁師とマグロの闘いが重なり合います。

吉村昭の小説は、しっかりした取材に基づく記録文学、ドキュメンタリ
タッチの良いものが多いけれど、この映画もその性格をしっかり
引き継いで出していたようです(原作は読んでいませんが)。

トークショー付き:(赤線地帯との併映で)
澤井信一郎監督、宮島秀司(魚影の群れプロデューサー)、
ホスト:坂本礼監督

トークショーのテーマは「長回し」。澤井監督の言葉が印象的でした。若い出演者や若いスタッフなら「長回し」はうまく行くけれど、若くないスタッフや出演者では難しいという趣旨。若い人は馬力があるから長回しの取り直しにも耐えられるけれど、短いショットの撮影に集中力を高めて完成度の高い芝居を1発で演じようとする年取った出演者の場合には、長回しは不適切という事らしいです。スタッフや出演者によってショットの取り方にも適切・不適切がある、というのが興味深かった。

宮島プロデューサの話で興味深かったのは、監督には撮影したフィルムをカットすることができないという話。「魚影」は6時間のものを2時間半にしたらしいですが、編集時に撮影フィルムを短くするため、撮ったショットをカットするのですが、監督にはそれがなかなかできなかったらしいです。最後は宮島さんがカットしたとのことです。苦労した撮影仲間や俳優のことを思うとカットできないらしい。そうだろうなと思った。

魚影の群れは、総てのカットが長回し。それぞれのカットにそれぞれの工夫があって、すごいと思った。この映画の漁師とマグロの闘いの部分では、その長回しが効果的だと思いました。漁師とマグロだけでなく、見ている方もくたびれましたから。ジットリとした緊張感、それが途切れる事無く続くのですから。

06.03.05 新文芸座

限りなき舗道

2006-03-04 | 成瀬映画
限りなき舗道  ☆☆
1934.04.26 松竹キネマ(蒲田)、白黒、無声、普通サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:池田富三、原作:北村小松
出演:忍節子、山内光、葛城文子、香取千代子、日守新一

人は誰でも夢を見て、希望に心をつないで生きてます。
いつかはきっと良いことが、いつかは必ず幸福が、
この限りなく続く舗道の上に、幸運が、
きっと待っていてくれるんじゃないかと。

東京の雑踏、忙しい舗道、人が行きかい、車が行きかう。
そんな幸福が待っていてくれるのだろうか?
そんあことってあるのだろうか。
あったとしても、強い風に吹き飛ばされて、
冷たい雨に、綺麗に洗い流されて、
元通り、ねずみ色のほこりっぽい冷淡な舗道。
幸運のかけらも無い。

夢を持ち、運を掴みたい女性。
そんな事は何も考えていない、謙虚な女性。
この2人、それぞれ幸運を掴みます。
幸福を求める2人の夢。かなえてあげたい2人の夢。

ピアノ生演奏(柳下美恵)付き。
06.01.15 NFC

生さぬ仲

2006-03-04 | 成瀬映画
生さぬ仲  ☆☆
1932.12.16、松竹キネマ(蒲田)、白黒、無声、普通サイズ
監督:成瀬巳喜男、脚本:野田高梧、原作:柳川春葉
出演:筑波雪子、岡田嘉子、小島寿子、岡譲二、奈良真養、葛城文子

子供と別れる親はつらいです。悲しいです。
心が引き裂かれます。
別れられません。別れられるはずがありません。
絶対に別れません。死んでも放しません。

親と別れる子供もつらいです。悲しいです。
不安で怖くて淋しくて、ぶるぶるします。
涙がたくさん出てきます。
帰りたいよ。迎えに来てよ。

生みの親も、育ての親も、どちらも別れたくない気持ちです。
どうなるんでしょうか?
2人の女優が、親の、強く激しい強い気持ちを本気で表現しています。
カメラもドラマも俳優も物語も、すごくダイナミックに動きます。
とても、サイレントのような気がしません。

子役の小島寿子が、とても良かった。
特に芝居をする子では無く、
特にかわいい姿かたちというのでも無い。
本当に普通の子供という感じ。
だから、自分の娘のような気がして、すごくかわいかった。

ピアノの生演奏(天池穂高)付きでした。2時間近くも、
映画の動きに合わせて引きっぱなしというのは、すごいです。
06.01.13 NFC