日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 忠吉 Tadayoshi Katana

2010-06-18 | 
刀 忠吉

①刀 銘 肥前國忠吉  

②刀 銘 肥前國忠吉  

 江戸時代初期の肥前国忠吉(ただよし)、及びその子の忠廣(ただひろ)が、鎌倉時代の山城物、殊に来派の直刃の再現を試みていたことは既に述べた。小板目鍛えが綺麗に詰み、その中に杢目や板目が地景によって立ち現われ、微細な地沸が付くという地鉄に、刃文は、小沸の粒子が綺麗に揃った直刃、あるいはわずかに湾れを交える直刃を焼き施して山城物に迫った。もちろん刀造りの考え方や材料の吟味選択は、鎌倉時代の刀そのものの再現ではなく、江戸時代初期という時代背景を通しての美しい刀の製作、即ちそれが肥前肌の創造を促すのであるが、正確に言えば、山城来の再現ではなく、肥前伝の完成ということになる。
 この刀の肌目が肥前肌、小糠肌と呼ばれる鍛えである。小糠肌の完成は二代忠廣の力によるところが大きいが、忠吉においても小糠肌はこの作のようにあり、以降、肥前正系の大きな特徴となる。
 地景によって杢目や板目が現われた地の素質は、小板目肌。均一に詰んでおり、時に網目状に地景が現われることもあるが、ほとんど地景が見られず、均一な小板目肌となる例もある。この二点の刀の場合、表面に微細な磨り疵があるために分かり難いが、肌目が詰んだ上に地沸が付いて、喩えられるような、まさに小糠を散らしたような肌合いである。
 刃文はわずかに互の目を交える直刃。帽子は掃き掛けを伴う小丸返り。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
名門忠吉 (平四郎吉政)
2011-08-14 11:54:32
新刀の直刃は やはり肥前忠吉が一番好きです。
素晴らしい。
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企業文化の基板 (プロテリアルファン)
2024-06-12 01:36:21
海外で材料力学の良好なテキストとして割と有名な、Journal of alloys and compoundsでStudy of Japanese sword from a viewpont of steel strengthというのが2013年に出ていますがこういうことも現在の日本のインバウンド観光の礎を築いたのかもしれませんね。
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刀好きには鉄の研究者があります (Zenzai)
2024-06-12 09:00:03
肥前刀は地鉄が美しいだけでなく姿もいい。これは揺るぎない事実です。

鉄の研究から刀好きになった人もいます。
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