刀 伯耆守正幸
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刀 銘 伯耆守平朝臣正幸 寛政三年亥八月
奥元平と共に江戸時代後期の薩摩刀工界を代表する伯耆守正幸は享保十八年の生まれ。はじめ正良と銘して宝暦頃から年紀作があり、寛政元年に伯耆守を受領して正幸と改銘している。正幸は作刀への探求心が強く、熊本藩士斎藤高寿との交流により『正良問答』が著され、また作刀技術書『錬刀造法伝』を示して四十名にも及ぶ刀工を教育し、その存在感を高めている。この刀は、独特の茎仕立てに、元先の身幅広く寸法長く区深く、鋒延びごころに重ねも厚く造り込んだ健全体躯を保つ豪刀。杢目を交えた板目鍛えの地鉄はゆったりと流れ、肌目に沿って大粒で均質な地沸が厚く付き、しっとりとした質感を呈し、大地に潤いを与える大河の如き風合い。刃文は小互の目に尖刃を交えた美濃風の構成で、焼頭が高低変化に富み、帽子は掃き掛けて返る。一段と沸深く明るい焼刃も沸の粒子が揃って冴え、匂が充満した刃中には小沸の足が頻繁に射し、この刃境を金線の交じる沸筋が屈曲して稲妻のように長く連なり、物打辺りはこれが二重三重に、さらに砂流しを交えて流れる。武骨だけでなく品格をも備えた薩摩相州伝の極致となっている。刃長 二尺四寸六分五厘(七四・七糎)、反り 六分、元幅 一寸一分四厘、先幅 七分九厘、棟重ね 二分一厘半、 鎬重ね 二分三厘半。間違いなく名品である。□
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刀 銘 伯耆守平朝臣正幸 寛政三年亥八月
奥元平と共に江戸時代後期の薩摩刀工界を代表する伯耆守正幸は享保十八年の生まれ。はじめ正良と銘して宝暦頃から年紀作があり、寛政元年に伯耆守を受領して正幸と改銘している。正幸は作刀への探求心が強く、熊本藩士斎藤高寿との交流により『正良問答』が著され、また作刀技術書『錬刀造法伝』を示して四十名にも及ぶ刀工を教育し、その存在感を高めている。この刀は、独特の茎仕立てに、元先の身幅広く寸法長く区深く、鋒延びごころに重ねも厚く造り込んだ健全体躯を保つ豪刀。杢目を交えた板目鍛えの地鉄はゆったりと流れ、肌目に沿って大粒で均質な地沸が厚く付き、しっとりとした質感を呈し、大地に潤いを与える大河の如き風合い。刃文は小互の目に尖刃を交えた美濃風の構成で、焼頭が高低変化に富み、帽子は掃き掛けて返る。一段と沸深く明るい焼刃も沸の粒子が揃って冴え、匂が充満した刃中には小沸の足が頻繁に射し、この刃境を金線の交じる沸筋が屈曲して稲妻のように長く連なり、物打辺りはこれが二重三重に、さらに砂流しを交えて流れる。武骨だけでなく品格をも備えた薩摩相州伝の極致となっている。刃長 二尺四寸六分五厘(七四・七糎)、反り 六分、元幅 一寸一分四厘、先幅 七分九厘、棟重ね 二分一厘半、 鎬重ね 二分三厘半。間違いなく名品である。□
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