日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 手柄山氏繁 Uzishige Wakizashi

2012-01-10 | 脇差
脇差 手柄山氏繁


脇差 銘 手柄山氏(以下切)氏繁於攝津作之



 江戸時代中期の氏繁は、姫路から摂津に移住し、手柄山の麓において鍛刀したことから、銘には「手柄山住」と添えるを常としている。後に正繁と改銘し、仕えた松平定信に従って江戸に居住し、神田に鍛刀場を持つ。この氏繁(正繁)もまた大互の目や濤瀾乱刃を焼いたことで人気が高く、大坂新刀独特の良く詰んだ小板目肌と地沸の妙味ある調合の地鉄造りを基礎としている。
 この脇差はまだ若き頃の作と推測されるも、草書銘に切っており、独創の感が強く、磨り上げながら総体に貫禄が漂っている。造り込みは肉厚く身幅広くどっしりとしており、詰んだ地鉄に地沸が厚く付き、大きくゆったりと乱れた焼刃からこぼれ落ちるような沸の粒が観察できる。この冴えた地沸が魅力である。

脇差 摂津守源忠行 Tadayuki Wakizashi

2012-01-10 | 脇差
脇差 銘 摂津守源忠行




 初代摂津守忠行(ただゆき)は初代粟田口近江守忠綱の弟。この脇差は二代忠行で、初代忠綱の甥に当たり、大坂に栄えた忠綱の協力刀工として有力な片腕の立場であった。それが故に良業物に指定されてはいるものの、自身銘は比較的少ない。この脇差は、大坂に流行していた大互の目の刃文を手本としたもの。地鉄はこの時代の大坂物の特質でもある小板目鍛えが良く詰んでいるが、細かな地景が入って肌立つ感があり、鎬地に柾目が強く現われている。粒の揃った沸の深い焼刃は、互の目に小互の目を交えて刃中に淡い砂流しが流れる。