大阪高裁は、巻きずし事件でイオンに逆転勝訴判決を下した。これは、江戸時代初期創業の「小鯛雀鮨鮨萬(こだいすずめずしすしまん)」が節分用巻きずし「招福巻」の商標権(大阪市)を侵害されたとして、大手スーパーを全国展開する「イオン」(千葉市)に使用差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決の話です。
大阪高裁の塩月秀平裁判長は、使用差し止めなどを命じた1審・大阪地裁判決(08年10月)を取り消し、原告側の請求を棄却した。1審判決は「商標権侵害に当たる」と判断した。しかし、塩月裁判長は「05年以降は極めて多くのスーパーで『招福巻』の商品名が用いられており、すでに普通名称になっている。したがって、商標権の効力は及ばない」と指摘した。
1審判決によると、小鯛雀鮨鮨萬は88年、招福巻を商標登録。イオンは12種類の具材を使った巻きずしを「十二単(ひとえ)の招福巻」の名称で06年と07年に販売した。この判決に対し、イオンは「当社の主張が認められたと理解している」とコメントした。結局、普通名称になっていたことが判決を左右したというこであった(判例参考)。