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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

新聞社VS新聞社の商標問題

2015-04-28 11:30:45 | 日記

だいぶ年月がたってしまいましたが、今日は新聞社の商標問題を考えてみましょう。新規参入を妨害されたとし、北海道新聞が函館新聞に提訴されました。これに対して、道新は2億2000万円を支払うことで和解が成立しました。事実上、道新の敗訴というべき和解でした。

これは、道南の函館市を中心に日刊紙「函館新聞」を発行する函館新聞社が「新規参入の妨害」を理由に、北海道新聞社に対して12億7,647万円の損害賠償を求めた民事訴訟が、24日、東京地裁の勧告によって和解したものです。

両社が合意した和解条項は、(1)北海道新聞社は、函館新聞社に対して和解金2億2000万円を支払う。(2)北海道新聞社は道南地方で発行する別刷りの「みなみ風」の広告料金について、今後とも独占禁止法の趣旨を踏まえて適正に設定する(3)函館新聞社は東京地裁で係争中の損害賠償請求の訴訟を取り下げる。(4)訴訟費用はそれぞれが負担するという和解内容でした。

それにしても、道新は新規参入を阻止するために、事前に考えられる9件の商標出願をしていた事実には驚いた。道新に言論の多様性を主張することなどできるのかな?

 


笑うに笑えない笑笑商標問題

2015-04-27 16:38:22 | 日記

日本で居酒屋チェーン「笑笑(わらわら)」を経営する会社が、韓国の居酒屋チェーンを商標権を侵害されたとして無効とするよう求めていた裁判で、韓国の特許庁は日本側の主張を認める判断を下したそうです。今から5年ほど前のことです。この判断を不服として韓国側は今後も争う姿勢を見せていました。

さて、「笑笑」を運営する日本の「モンテローザ」は2010年、韓国の居酒屋チェーン「WARAWARA」に店名などを使わないよう求める申し立てを韓国の特許庁にし、韓国の特許庁は「WARAWARA」の商標を無効とする判断を下したが、韓国の「WARAWARA」はこの判断を不服とし、取り消しを求める訴えを起こした。しかし、裁判所はこの訴えを棄却し、モンテローザの「笑笑」側が勝訴した。

この判断を受け、韓国の「WARAWARA」は取材に対し、「看板をかかげることに何の問題もないが、それでもこれからも争(裁判)っていきます。今使っている看板をそのまま使う?かの取材に対して、韓国側は「当然でしょう」と話し、今後も法廷で争っていく構えを見せました。一連の訴訟に関して、モンテローザは「係争中の案件のため、コメントは差し控えたい」としている。今後は韓国の最高裁で争われ、最終判断が下される。

その後、韓国大法院(最高裁)は、韓国敗訴の下級審判決を破棄し、審理を特許裁判所に差し戻す判決を下した。「笑笑という居酒屋は韓国ではほとんど知られていない」というのが主な理由だそうです。結局、外国での権利取得は笑うに笑えないほど大事ということか?

 

 

頑張る農業協同組合②

2015-04-26 12:37:51 | 日記

地域団体商標とは、一定の範囲で周知となったため、事業協同組合、農業協同組合等が商標登録を受ける商標をいう。目的は他の地域と差別化して販売促進しようとするものです。あなたの地域には何かありますか?

 

三重県

商標:美旗メロン

商標登録:第5626329号

権利者名:伊賀南部農業協同組合

伊賀地域の農産一次産品で、初登録!
芳醇な香りと味わい『美旗メロン』
人気上昇中、一度食してみませんか?

広島県

商標:府中家具

商標登録:第5030831号

権利者名:府中家具工業協同組合

『府中家具』は、
匠の確かな伝統技術で作られた、
木目を活かした自然な表情の
インテリア家具。
ライフスタイルに合わせて
家具を選んでみませんか。

福岡県
 
商標:はかた地どり

商標登録:第5504323号

権利者名:全国農業協同組合連合会

“水炊き”をはじめ、鶏肉料理との相性バツグン!
バリうまか『はかた地どり』
いっぺん食べちゃってん!

 


何があったの弁当屋さん

2015-04-25 11:24:29 | 日記

ほっかほっか亭とほっともっととも、持ち帰り弁当を販売する会社です。両社には複雑な過去があり、激しく対立していました。きっかけは、フランチャイズ店であったプレナスがほっかほっか亭総本部の株式44パーセントと東日本地域を統括する株式会社ほっかほっか亭を買収した事であったようだ。株式会社ほっかほっか亭は、「ほっかほっか亭」の商標権を持っていたため、自動的にプレナスが商標権を持つことになる。総本部に対し商標権の使用料を支払うよう通達するも、総本部は支払いを拒否し法廷闘争に発展しました。

さらにプレナスのホットボックスを使用した出張ワゴン販売が営業方針に合わないとして総本部が差し止めを求めるもプレナスは拒否、両社の対立は決定的となりました。総本部はプレナスに対しフランチャイズ契約の延長拒否を通達。プレナスはほっともっとを立ち上げ全国展開することになりました。さらに総本部は株式をハースクレイに譲渡しプレナスに対抗しました。結果ほっかほっか亭総本部はプレナスがフランチャイズ店契約期間中に度重なる契約違反があったとして提訴しました。内容はプレナスが契約拒否を通知したにもかかわらず、営業を停止しなかった事と、「ほっともっとに変わります」などと自らのブランドを宣伝したこと。これらの行為が契約違反に当たると言うものである。

1審では総本部の訴えは棄却されプレナスが勝訴。しかし、高裁では逆転で総本部が勝訴。プレナスに対し10億9000万円の支払いを命じられた。プレナスはこれを不服として上告しました。最高裁第3小法廷の寺田逸郎裁判長はプレナスの上告を棄却。これによりプレナスの敗訴と10億9000万円の支払いが確定しました。それにしても、どうしてここまで激しく対立してしまったのだろうか。プレナスも株式を取得し商標権を得ているからどちらが悪いのかはわからない。ともかく、プレナスに10億9000万円という莫大な金額の支払い義務が発生した。両社とも消費者に美味しい弁当を安価で提供する庶民に優しい企業のはずだ。共存共栄を期待したいが、こうした争いにも商標権が関係していることに驚かされる(国内ニュース参照)。


「ひよ子」立体商標認めないよ

2015-04-24 14:04:04 | 日記

  福岡市の菓子メーカー「ひよ子」が特許庁に登録していた鳥形まんじゅう「ひよ子」の立体商標の取り消しを求める訴訟の判決が2006年11月29日、知的財産高裁(東京)であった。中野哲弘裁判長は「(ひよ子が登録した)立体商標それ自体は、未だ全国的な周知性を獲得するまでには至っていない」として、立体商標を認めた特許庁の審決を取り消した。この訴訟は、ひよ子と同じ福岡市にある菓子会社・二鶴堂が提訴したものである。

立体商標は、特別な形をした人形や看板などに関する商標で、1996年の商標法改正で認められるようになった。これまでに登録された立体商標としては、不二家の「ペコちゃん人形」やケンタッキー・フライドチキンの「カーネル・サンダース人形」などがある。今回の判決で知財高裁は、「ひよ子」が伝統的な鳥形の和菓子を踏まえた単純でありふれた形の菓子であり、同じような鳥形の菓子が全国各地で多数販売されているという。登録の「ひよ子」の形状には他の商品との「識別力」がなく、立体商標登録の要件をみたしていないと判断したようだ。なお、高裁は全国各地のひよ子の形状について販売状況を調査したのは言うまでもない。