goo blog サービス終了のお知らせ 

商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

牛のおしっこ商標

2015-06-30 14:20:59 | 日記

飲み物の商品名が「牛のおしっこ」っておいしいと思いますか?カルピスが登録商標(第2046160号)を「カルピコ」として外国で売っていました。もちろん日本では「カルピス」です。つまり、外国と日本では商標名が違っています。なぜでしょう?

商品・サービスを外国にこれから提供しようとしているみなさんはこの違いを特に理解しておくと良いいですよ。なぜなら、「カルピス」は、ネイティブの方には“cow piss”と聞こえてしまいます。英語がわかる人ならわかるでしょう。“cow”=牛“piss”=おしっこ。つまり、「カルピス」=“牛のおしっこ”

このような経緯があり(詳しくはわかりませんが、現地の販売店から苦情があったらしいですよ)外国で使う商標を「カルピコ(CALPICO)に変更しました。せっかく時間とお金をかけてマーケティングをしても、これでは何にもなりません。もったいない話です。「ネーミングは大切に」という一席でした。確か、自動車名でも同様な裏話がありました。お後がよろしいようで・・・。


カシオの腕時計

2015-06-26 09:57:07 | 日記

世の中には、種々多様の腕時計があります。カシオの腕時計もそのうちの1つです。その中の「G-SHOCK」はとくに有名なブランドです。こうした有名なブランドは、模倣のターゲットとされることがあります。「G-SHOCK」も、模倣の被害を受けたことが過去にありました。「G-SHOCK」の類似品として「A-SHOCK」などが日本や諸外国で出回りました。

そこで、カシオは、こうした模倣対策として、「A-SHOCK」から「Z-SHOCK」まで26通りの商標登録をとりました。こうした模倣対策は、商標登録の事実が存在するという点で一定の牽制力を働かせることができるので有効な側面があり、経営戦略としても有効と考えます。ただし、問題がないわけでもありません。

カシオが「G-SHOCK」以外の商標を使用していない場合です(3年間使用しないと登録が取り消される)。商標法は商標そのものを保護するのではなく、商標に蓄積されたブランドを保護することが目的ですので、不使用の商標は、たとえ商標登録を受けていても、ブランドの蓄積がなく、法律上の保護を受けるのが難しいという問題です。こうしたカシオの知財戦略はリスクがあり、資金が豊富な企業のみがなしうる戦略といえると思うのですが・・・。皆さんはどう考えますか?


立体商標とひよこ事件

2015-06-24 12:55:04 | 日記

庭に鳥がとんできた。そういえば、かって「ひよこ事件」というのがあった。これは、福岡市の老舗製菓会社「ひよ子」の所有する立体商標を巡る事件でした。 事件は、福岡市の株式会社ひよ子が「饅頭」の形状について立体商標の商標権を所有していたところ、同じ福岡市の製菓会社が特許庁に対し、その立体商標の登録無効を求めていた審判事件で、その無効審判は成立しない、との審決が出された(登録維持)。

そもそも立体商標は、1996年(平成8年)の商標法改正により登録が認められるようになった比較的新しい制度です。その制度導入当初は、飲食店の店先のカーネル・サンダース人形やペコちゃん人形等、店頭看板などの登録が認められていたが、商品自体の形状や商品の包装の形状に関する立体商標が認められた事例は殆んどありませんでした。その理由は、実際の使用態様と出願商標の同一性に関する特許庁の審査基準が厳格であることが挙げられるでしょう。

したがって、「ひよ子」の立体商標についても、1997年(平成9年)に出願された後、審査段階では拒絶査定が出され、不服審判を請求した結果、使用による顕著性が認められたことにより、2年前の2003年(平成15年)8月29日に登録されたのです。メディアによると、株式会社ひよ子は、2004年に、類似の形状の菓子を製造・販売する競合他社に対し、その立体商標に関する商標権に基づく侵害訴訟を福岡地裁に起こしており、今回の無効審判は、その相手方による対抗手段として請求されたようです。多分、立体商標に基づく商標権侵害訴訟としては、初めての事例ではなかったでしょうか?立体商標の類似性に対する判断等については、今後の成り行きを注視する必要がありそうですね。

 

商標は取ってからが大事

2015-06-22 17:23:18 | 日記

今日は、森永の事例を書いてみよう。でもこれは、他人の受け売りです。さて、森永のブランドの一つに、エンゼルマークと「天使」があります。同社は創業当時(1905年)からエンゼルマークを採用し、製菓業界において天使のイメージとともに森永のブランドを作り上げてきました。名称の由来は、創業時の主力商品のマシュマロが英語で「エンゼルフード」と呼ばれていたことに起源あると伝えられています。

グリコと同様に森永も「天使」ブランドを守るため、商標に関しいくつもの戦いを繰り広げててきました。もし、「天使」と似ている商標が間違って登録となると、「天使」ブランドが毀損されてしまいます。「天使」ブランドを巡っては、次のような争いがありました。無効2003-35187(「天使達のみるふぃ~ゆ」vs「天使」)「天使達のみるふぃ~ゆ」という商標が登録となりました。

これに対し、森永は、「天使」と似ているなどの理由で商標登録の無効を申し立てたところ、その申立が認められ、「天使達のみるふぃ~ゆ」の商標権を消滅させることができました。無効2008-890069(「天使のスィーツ」vs「エンゼルスィーツ」)「天使のスィーツ」という商標が登録となりました。

これに対し、森永は、「エンゼルスィーツ」と似ているなどの理由で商標登録の無効を申し立てたところ、その申立が認められ、「天使のスィーツ」の商標権を消滅させることができました等々。商標権はとって終わりではありません。むしろ、とってからが大事といえます。

ブランドが大きくなればなるほど、そのブランドを守るためには、例え大企業であっても絶え間ない努力が必要となります。天使はお菓子のイメージに合い、商標として採用したくなりそうですが、菓子類について「天使」の語を含む商標を出願する場合は、森永のブランドとの関係がありますから慎重に。そうしないと、苦い目にあいますよ~。 

<form id="u_0_6" class="commentable_item autoexpand_mode" action="/ajax/ufi/modify.php" method="post" data-ft="{&quot;tn&quot;:&quot;]&quot;}"><input type="hidden" name="charset_test" value="&euro;,&acute;,&euro;,&acute;,水,Д,&#1028;" /><input type="hidden" name="lsd" value="AVodNyd7" /><input type="hidden" name="feedback_params" value="{&quot;actor&quot;:&quot;249029655198193&quot;,&quot;target_fbid&quot;:&quot;282727995161692&quot;,&quot;target_profile_id&quot;:&quot;249029655198193&quot;,&quot;type_id&quot;:&quot;22&quot;,&quot;assoc_obj_id&quot;:&quot;&quot;,&quot;source_app_id&quot;:&quot;0&quot;,&quot;extra_story_params&quot;:[],&quot;content_timestamp&quot;:&quot;1347588524&quot;,&quot;check_hash&quot;:&quot;AQDfUXiZqMiOIZ3t&quot;,&quot;source&quot;:&quot;13&quot;}" /><input type="hidden" name="data_only_response" value="1" /> </form>

「面白い恋人」と「白い恋人」

2015-06-15 11:07:47 | 日記

2年ほど前のチョコレートの話です。「面白い恋人」というネーミングを聞いたとき、「白い恋人」だと勘違いして「面白い恋人」を購入した人がいたかも知れません。中には、怒りを覚えるどころか、さすが「お笑いの本家である吉本! 」と、感心した人も多数おられるのではないかと思います。そこに、ユーモアや笑いが感じられたことも否定できません。

しかし、法的には、「さすが!」とばかり言ってはいられません。長年かけて築き上げてきたブランドに便乗するような行為は、いかにユーモアが効いていても、許されない場合があるからです。

被告吉本興業側は、「面白い恋人」の商標のまま、販売を継続できる形で和解した(2013年2月13日、札幌地裁)わけですから、満足できる解決が得られたといって良いでしょう。

一方、原告石屋製菓側は、誤認混同が認められる可能性が低いと見られていた状況下でも、自社と北海道にとってのブランドの重要性を考えて提訴に踏み切った結果、本拠地(北海道)での商圏は維持できたので大きなダメージを受けずに落着できたのではないでしょうか。この事件から学ぶべきは時間と費用より経営戦略の視点が大きいと見ることはできませんか?