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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

知的財産の基礎

2016-10-31 09:56:33 | 日記

「東京五輪エンブレム問題」「ゴーストライター事件」「アップル社とサムスン電子の特許件侵害訴訟」をはじめ、テレビや新聞を賑わすような「知的財産」をめぐるトラブルが増えています。知的財産の侵害を起こさないためには、どうすればいいのでしょうか。

「意図していなくても、知的財産の侵害を起こしてしまうことがあります。それを避けるためには『知的財産』のルールを知り、また、事前に侵害していないかをきちんと確認しておくことが必要です」

出願していなければ、自分のアイデアでも損害賠償請求されることも、たとえば商標は、商品等の製造者や販売者であることを示す「出所表示」として昔から使用しているものであっても、商標登録の出願をしておかなければ、独占的な使用はできません。

仮に、他社がロゴマークやネーミングを模倣して商標登録すれば、逆に自分たちが商標権を侵害したと判断され、使用の差止めや損害賠償を請求されるおそれがあります。また、新たにロゴマークやネーミングを使用する場合は、他社の登録商標を確認する必要があります。

「商標は商品や役務の種別ごとを指定して登録されるので、使用する商品や役務が異なれば、商標権の侵害の問題は生じません。ですから、調べるのは指定商品や指定役務が同じ種別のロゴマークやネーミングだけでOKです。」

「著作権に関しては、まず覚えておいてほしいのは、コンサート音源をCD‐Rに無断録音してオークションで販売したり、ネット上で使用されている写真や画像を無断で自社のブログ等に転載すれば著作権侵害になること。また、他社の開発したコンピュータプログラムを、無断でパソコンにインストールすれば、複製権の侵害となります。」

著作権は、特許権や商標権のように登録されていないので、ネット上の写真や画像等を転載したい場合は、著作者の使用許諾を得ることが必要です。また、他社のコンピュータプログラムをインストールして使用したい場合は複製権等を取得しておく必要があります。

一方、特許権や実用新案権の侵害に関する問題で非常に多いのは、企業が製品開発・技術開発を行う場合に、先行技術の調査が不十分であったために、他社の特許権の権利範囲(クレーム)を侵害してしまったというケースです。特許情報等は、特許庁のホームページ等で検索することが可能ですが、特許情報提供事業者に有料で調査を依頼する方法もあります。

「どれだけ真剣に調べたつもりでも、知識不足のために見落としてしまったといったことは少なくありません。知的財産の侵害の恐ろしさは個人や企業のイメージを大きく傷つけることです。時には、弁理士や弁護士など専門家に鑑定意見を求めることも必要でしょう。」(池田弁護士)


農林水産物と知財

2016-10-30 10:06:06 | 日記

農林水産物のブランド展開が進むなかで、知的財産権に対する関心が高まっている。地域独特の生産方法や気象条件が生かされた農産物、固有の形質を持った種苗に知財権が設定されれば、生産者や育成者の利益が保護される。結果、農林水産業および関連産業の発展に結びつく一方、消費者は価値ある物産の購入で満足が得られる―という理解が進んだためだ。

農林水産業従事者から知財に関する知識や取得方法の問い合わせも増えると予想され、情報提供体制の充実が急務となっている。特許庁が各都道府県に置く知的財産総合支援窓口(工業所有権情報・研修館が今年度から所管)では今月から、農林水産省の担当する地理的表示保護(GI)制度や種苗の育成者権についても相談が受けられるようになった。

両省庁の協力で実現したサービスだが、この機会を活用して生産地、育成者の権利取得を進め、特産品ビジネスの拡大につなげてほしい。GIは、日本各地の気候や風土と結びついた伝統的製法によって高い品質が認められてきた農林水産物・食品などを、地域ブランドとして知財で保護し、地域の経済活性化につなげようという制度。

農水省が基準に照らして申請案件を審査し、パスした産品に「GIマーク」の使用を認める。2014年に制定された地理的表示法に基づき運用が始まり、昨年12月に「但馬牛」「夕張メロン」など7産品が初めて選ばれた。現在20産品以上が登録されている。ただ海外には法律の効力が及ばない。

このため国は20カ国・地域に商標を出願した。無断使用を許さぬよう登録まで監視の目を緩めず、出願先国と協力の下、先手を打つことが求められる。農業分野の知財権というと、これまでは種苗の育成者権のみが意識されてきた。ところが従事者の高齢化の進展、高まる省作業ニーズなど農業を取り巻く課題が多層化。

異分野のノウハウや技術を組み合わせれば、有効な対応策に成り得ると分かってきた。その例がICT(情報通信技術)やロボットの活用である。気象条件や熟練者の技、作物特性などをデータ化し、栽培・作業の最適化・省力化、作物の品質安定化、収穫量向上に生かす。これらの仕組みを含め「知財権で守られるビジネス」を目指さねばならない。

地域ブランドや育成者権を海外で普及するには今後、ソフト面を含め複数の知財で構成されるモデルの確立が不可欠。偽装困難な包装技術、簡易測定による鮮度保証なども取り込み、とくに成長有望なアジア市場で優位に立てる高度な保護体制が築かれることを期待したい。


頑張れ茨城!!(地域団体商標)

2016-10-29 10:13:11 | 日記

本場結城紬(ほんばゆうきつむぎ) 商標登録第5026150号
本場結城紬卸商協同組合
(茨城県結城市大字結城607番地2)
茨城県本場結城紬織物協同組合
(茨城県結城市大字結城3018番地の1)
栃木県本場結城紬織物協同組合
(栃木県小山市大字福良2358番地)
茨城県結城市及びその周辺地域並びに栃木県小山市及びその周辺地域産の結城地域由来の伝統の技術で製造された紬織物
連 絡 先:0296-33-2333
関連HP:http://www.honba-yukitumugi.or.jp/
結城地方(茨城県及び栃木県)伝統の技法による、真綿かけ、糸つむぎ、管まき、糸あげ、機延べ、図案作製、絣括り、染色、糊つけ、筬通し、機巻き、機織りの行程を経て作成される紬織物であり、少なくとも糸つむぎは真綿を手でつむぐ手つむぎとし、機織りはいざり機(地機)又は高機を使用して手織りする紬織物であります。


味ねぎ商標

2016-10-28 15:21:21 | 日記

大分県農協(JAおおいた)が特産の小ネギを生産する組合員の一部に「大分味一ねぎ」のブランド名を使わせないなど不当な扱いをしたとして、公正取引委員会は27日、独禁法違反(不公正な取引方法など)の疑いで、大分市の県農協本店を立ち入り検査した。

味一ねぎは主に県北部で生産される、大分県を代表するブランド野菜の一つ。県農協が商標権を持ち、首都圏などに出荷している。不当な扱いを受けたとされる組合員は農協以外にも別のブランド名で出荷していた。県農協は「検査を受けているのは事実。全面的に協力していく。現在は調査中のため、詳細なコメントは差し控えたい」としている。

公取委によると、県農協はここ数年の間に、農協以外の業者と取引していた複数の組合員に対し、ブランド名を使わせなかったり、小ネギの集出荷場(宇佐市)を使わせないようにしていた疑いがある。味一ねぎの生産者は2008年に生産部会を結成。不当な扱いを受けたとされる複数の組合員も以前は部会に所属していたが、部会からは除名されているという。

公取委に申し立てをした男性組合員(53)は「販売先は農家の自由。組合員だからといって農協に全量を納めろというのはおかしい」と主張する。公取委は県農協本店で関係者から事実関係を聞き取り、資料を持ち帰った。今後、違反が確認されれば排除措置命令を出す方針。

「大分味一ねぎ」は、県が1次産品の生産・販売拡大を重点的に支援する「戦略品目」の一つ。各地の生産部会が2007年から銘柄の統一を進めた。県域で集出荷する体制が整った品目の第1号で、県農業をけん引する役割を担ってきた。

複数の産地が協力して銘柄を統一することで、市場の要望に応えられる一定の出荷量を確保。大分ブランドの知名度アップと単価向上に力を入れてきた。取り組みを推進してきた県農林水産部の担当者は27日、「公取委の調査内容が把握できておらず、現時点でコメントできない」と困惑気味に話した。


「お~いOO」商標

2016-10-27 12:23:03 | 日記

「お~い」という言葉から連想する商品といえば、おそらく多くの人が『お~いお茶』を思い浮かべるはずである。シンプルで覚えやすいネーミングは、見事というほかないだろう。その『お〜いお茶』販売元の伊藤園が、この「お~い」という言葉をいろいろなモノに対して商標登録しようと、2015年11月16日に出願しているのをつい先日発見した。そんなモノにまで! と思うほど数多くの商品を指定していて、リストを眺めていると「お~い」がいかに万能な言葉であるかがわかる。

伊藤園が出願している商標「おーい」の指定商品「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ステープラ,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,装飾塗工用ブラシ,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(「おもちゃ」を除く。),紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て,被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,漁網製作用杼,メリヤス機械用編針,電気式ヘアカーラー,針ひ類,被服用はとめ,テープ,リボン,編みレース生地,刺しゅうレース生地,房類,組みひも,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱,腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。),靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具,人毛,スキーワックス,遊園地用機械器具,愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,氷,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類,ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」

飲み物はしっくりくる『お~いお茶』が商品名として定着しているおかげで、飲み物はかなりしっくりくる。たとえば『お~いビール』や『お~いコーヒー』などはいつでも商品化できそうな、言葉の落ち着きがある。機器類はちょっと……

その一方で、『お~い自動印紙はり付け機』や『お~い文書細断機』などは、何となくなじまない。「お~い」という軽い呼びかけに対して、“機器” が重苦しく感じるためだろうか……。

実際に登録されるのか?商標の専門家である弁理士に尋ねてみると、「お茶などに対して “ヤッホー” という商標が登録されていることを考えても、商標権がとれないわけではないとのことだった。

出願の目的は、「おそらく『お~いお茶』のパロディを牽制すること」であって、“お~い ” だけ出願したのは、「防衛目的で商品全部について、『お~いガーター』、『お~いステープラー』、『お~いたこ焼き』などと一つひとつ出願していたとしたら費用が膨大にかかる」ためらしい。

登録されたとしてどこまで有効か?それではもし登録され権利化した場合、例えば『お~いガーター』という名前でガーターを売っている人も、商標権侵害となってしまうのだろうか。先の弁理士によると……

「必ずしもすべての範囲について権利が及ぶとは限りません。たとえば、商標『WALKER』の権利者が『Tokyo Walker』を訴えて認められなかった事案もありますし、俺の○○という料理屋さんが本家(?)以外の会社から多数出ていたりします。

つまり、ある言葉(単語)に共通の商標に対しては、あまり強い権利を認めない傾向にあるので、今回の出願によって権利化したとしてもどこまで効力があるかは疑問です。しかし、牽制にはなるので出した意味は大いにあるでしょう。」……とのことであった。

やはり『お~いお茶』は耳当たりのいいネーミングなので、競合企業はその言葉と商品のブランドイメージを狙っているのだろうか。『お~いハンバーガー』とか『お〜いトランプ』とか、本当に商品化されると面白そうなんだけどな~……。