商標にはいろいろあります。防護商標もそのうちの1つです。まずは商標が登録されていることは大前提で、すでにその商標がとても有名である必要があります。また、その商標を違う区分で使用された場合に混同されるおそれはあるのかどうかも審査されます。
とても有名なお菓子メーカーが、全く畑違いな電化製品の事業をいきなり始めるのは考えられませんが、そのお菓子メーカーの名前を使用して誰かが電化製品を販売し始めたら消費者は「あれ、あのメーカー、今度は電化製品にも手を出し始めたのか。」と思う可能性があります。
多くの消費者がそう思うぐらい、周知のお菓子メーカーだということが特許庁に認められれば防護標章登録が成立します。「周知」というのは、日本全国のどこで聞いても、その商標を見れば「ああ、あれはあの会社のマークだな」と分かるぐらいに著名でないと登録できません。地域の人しか知らないような小さなお菓子屋さんについては、そのお菓子屋さん自体を知っている人が限られているので防護標章登録の申請は通りません。
では、防護商標は普通の商標登録と何が違うかというと、通常の商標登録は、実際に使用中(もしくは使用予定)の商品やサービスでないと申請が通りません。登録商標でも、使用されていない場合は不使用取消審判などで取り消される可能性があります。
しかし、防護標章制度の場合は実際に使用する予定がない区分でも登録することができます。一般の登録商標の場合は同じ区分の中で同一の商品と併せて類似品も規制することができますが、防護標章については類似品は規制することができません。
防護標章の登録を認められるということは、特許庁がその商標を「有名な商標である。」と認めてくれたことにもなります。つまり、その商標が著名であると世間に認められたということです。実際に防護標章登録されている防護標章を取得している会社は、日本全国の大多数の人が知っている企業です。
サントリーやキューピーのマーク、日進のカップヌードルや、大塚製薬のポカリスエットなど・・・。防護標章の権利を取得するには「防護標章登録願」という書類を特許庁に提出します。特許庁の審査官の審査に通れば登録料を支払って登録できます。
防護商標登録の出願で特許庁に支払う登録料は、2012年の7月現在では6,800円と、区分ごとに17,200円です。その後は10年毎に更新手続きをすると、さらに10年間延長が可能です。ただし、元となる登録商標と防護標章登録は別物ですので、更新は個々に行わなくてはいけません。
防護標章登録は商標登録を取っていることが前提なため、登録商標の期限が切れると防護標章登録の権利も切れますので注意が必要です。出願人は防護商標で登録できるぐらい著名な商標になればいいなと常々思ってま~す。