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商標の広場

弁理士の福島が商標のお話をします。

品質の誤認について

2015-09-30 10:33:29 | 日記

商品の品質(役務の質)の誤認とは、需要者が商品の品質を誤解してしまうことです。
(1)商標法は、商品の品質の誤認を生じさせるおそれのある商標は登録しないと定めています。需用者は商品を購入する際に「商標」を参考にしますが、商品の品質を誤認させるような商標は望ましくないからです。

この場合、誤認の「おそれ」を問題としますので、審査においては実際に品質を誤認させたという事実ではなく、その「可能性」の有無に着目して判断します。(2)たとえば 「タイタニック ビーフ」 という商標について考えてみましょう。第29類「食肉」という商品を指定して出願した場合。商標中に「ビーフ」という文字を含んでおり、一般に「ビーフ」は「牛肉」を意味すると解釈されます。

そのためこの商標が、「牛肉」以外の食肉(たとえば豚肉や鶏肉など)に使用された場合、需用者は商標を見て商品が「牛肉」だと誤解して買ってしまうことも考えられます。そこで、審査において「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」であると判断され、拒絶されてしまうことがあります。

(3)このような拒絶理由通知を受けた場合、手続補正することにより拒絶理由を解消できることがあります。例えば、上記の例ですと指定商品を「食肉」から「牛肉」に補正すれば、品質誤認を生じさせるおそれはなくなるので拒絶理由は解消します。「食肉」は「牛肉」を含む広い概念なので、その中の「牛肉」に限定することは問題ありません。

拒絶理由通知書にも一通り拒絶の理由を説明した後に「但し、指定商品を『牛肉』と補正した場合にはこの限りでない。」というようなアドバイス的記述が記載されていることがあります。(4)上記の例では 商標中に「ビーフ」の文字を含んでいるために「牛肉」以外について登録が認められない場合を示しましたが、「ビーフ」の文字を含む商標であっても「食肉」について登録できる場合はあります。

例えば「ロビーフロント」のような商標の場合、商標中に「ビーフ」の文字を含んでいますが、商標の構成から考えて この中から「ビーフ」部分を抜き出して「牛肉を意味する」と判断するのは不合理だからです。実際には商標の構成により審査官と見解が別れることはありますが、そのような場合には意見書を提出して「品質の誤認を生じさせるおそれがない」ことを主張するとよいでしょう。

「午後の紅茶」の判例などはまたの機会に・・・。


頑張れ山形!!(地域団体商標)

2015-09-30 09:36:17 | 日記

置賜紬(おいたまつむぎ) 商標登録第5409993号
置賜紬伝統織物協同組合
(山形県米沢市窪田町久保田
2885-5)
山形県の米沢市・長井市・白鷹町産の紬織物
山形県米沢市の米沢織、長井市の長井紬、白鷹町の白鷹織と三産地において伝統的工芸織物を製造する機屋が集合し産地の特性を国の伝産法に合わせて作られた織物。主な物
・米沢→草木染、手織
・長井→緯双絣、併用絣
・白鷹→板締小絣
但し絹織物であること。


頑張れ岐阜!!(地域団体商標)

2015-09-29 11:27:44 | 日記

奥美濃カレー(おくみのかれー) 商標登録第5381834号
奥美濃カレー協同組合
(岐阜県郡上市白鳥町中津屋929)
岐阜県奥美濃(郡上市)におけるカレーの
提供
連 絡 先:0575-82-3036
関連HP:http://www.okuminocurry.com
「奥美濃」地域に根ざした食材を活用し、それを食べていただくお客様に喜んでいただくために愛情を込めて創意工夫をして作られているカレーであること。また、ご当地カレーの統一感を醸成するた
め、地域の味である「郡上地域で製造されるご当地味噌」を隠し味等に使用していることを最低の統一条件としています。また、「奥美濃カレー」は、年に一回の認定会により味の品質保持、新規メニューの認定を行っており認定会で合格したメニューは「奥美濃カレー」となります。お店ごとに違う「奥美濃カレー」が楽しめ、現在、60種類以上の奥美濃カレー認定メニューがあります。


出所の混同事件

2015-09-28 14:30:24 | 日記

商標の出所の混同事件があった。①商標法四条一項一五号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商標をその指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)に使用したときに、当該商品等が他人の商品又は役務(以下「商品等」という。)に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(以下「広義の混同を生ずるおそれ」という。)がある商標を含むものと解されている。

ただし、同号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであるところ、その趣旨からすれば、企業経営の多角化、同一の表示による商品化事業を通して結束する企業グループの形成、有名ブランドの成立等、企業や市場の変化に応じて、周知又は著名な商品等の表示を使用する者の正当な利益を保護するためには、広義の混同を生ずるおそれがある商標も商標登録を受けることができないものとされている。

②「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断される。レールデュタン事件の判旨は原審破棄自判。特許庁審決の取消しで最高裁は混同を認めた。この判決の肝は総合的判断?


頑張れ新潟!!(地域団体商標)

2015-09-28 11:04:24 | 日記

越後上布(えちごじょうふ) 商標登録第5128466号
塩沢織物工業協同組合
(新潟県南魚沼市目来田107番地1)
新潟県の南魚沼市地域(旧塩沢町・旧六日町)に由来する製法により南魚沼市地域及びその周辺地域で生産された平織の麻織物及び平織の麻織物を使用した和服越後上布は、雪国新潟の南魚沼地域に伝わる麻織物で、「雪中に糸となし雪中に織り雪水に洒ぎ、雪上に晒す」とうたわれ、雪国の生活と共に受け継がれてまいりました。特色は、通気性に富みさらりとした涼味あふれる、最高級の夏物着尺であります。重要無形文化財指定の「越後上布」が平成21年9月30日ユネスコ無形文化遺産に登録されました。