ワンダースター★航星記

写真を撮るとは、決して止まらない時間を止めること。旅や日常生活のインプレッシブな出来事を綴ったフォトエッセイ集です。

プロレスラー墓碑銘 2019 ~美獣と魔王

2019-12-28 | プロレス

プロレスラー墓碑銘 2019 ~美獣と魔王

  昭和プロレスファンなら、”美獣”と”魔王”と聞いただけで、誰のことかは、すぐわかるはずだ。

 それくらい、マニアックな世界なので、ワンダースターでは、滅多に記事にしないのだが、プロレスファンのビジターから、「たまにはプロレス記事も書いてよ」というリクエストがあったので、年末に1回だけ、記そうと考えた。

 題して、「プロレスラー墓碑銘」。

 その年に逝った名選手の中で、特に個人的に思い入れのあった選手のことをあれこれ記す。

 2019年には、アレックス・スミルノフやペドロ・モラレスらが鬼籍となったが、何といっても、”美獣” ハーリー・レイスと"白覆面の魔王" ザ・デストロイヤーは、個人的にもインプレッシブなレスラーだった。

 ①インテリジェント・センセーショナル・ザ・デストロイヤー

 

  まさに4の字固めが代名詞のレスラーだった。

  当時は、誰かれなく、技の無断使用は不可という無文律でもあったのか、其々の十八番技が専売特許のような時代だった。

 もっとも、4の字固めの使い手は数多いが、彼ほど、この技に執着したレスラーはいなかったように思う。

 執拗に足殺し技を繰り出して、最後に4の字固めを決めていくという、お決まりのシチュエーションに観客は酔ったものだ。

 彼は力道山の最後の好敵手であり、魔王というニックネームがぴったりの悪役レスラーのドンとして、威風堂々としていた。

 ジャイアント馬場の16文キックはロープのリバウンドを利用して、跳ね返ってくるレスラーの顔面に吸い込まれるように決まるというのが、プロレス界の暗黙のルールであるが、彼は決まる直前にストップし、馬場の挙げられた片足を持ち、軸足を払い、テイクダウンさせた途端に4の字を決めるという、変則が認められた唯一のレスラーだった。

 誰でも考えそうな流れだが、当時はこれだけで、”悪賢い技巧派”というレッテルが貼られた。

 また、白覆面の額に凶器を入れて、”凶器頭突き”なる反則技を繰り出したりした。

 どう考えても、技を仕掛けている方が痛いと思うのだが、これが、悪役レスラーの真骨頂というところだろう。

 全日本の一員になってからは、半分、コメディアンのようになってしまい、昔の威厳は消え失せた。

 素顔は大の親日家で、日米の交流にも積極的で、「デストおじさん」と親しまれた。

 アメリカに帰ってからは、元体育教師のデイック・ベイヤーとして、青少年育成にも尽力したという。

 公式の場では、マスクを脱がなかったという生涯にわたるマスクマンだった。享年、88歳。

 

②ハンサム・ハーリー・レイス

 

 リングネームに”ハンサム”を付けるとは、何と傲慢なといいたいところであるが、彼のマスクはどう見ても、”豚面”。

 彼一流のジョークだと思うのだが、日本の記者は、それが理解できず、”美獣”というニックネームを付けた。

 私にはNWA王者になる前、来日レスラーの中で二番手、三番手の若き日のレイスのイメージが強いが、当時から、受け身のうまいレスラーだった。

 受け身のうまいレスラーはプロモーターから重宝される。

 プロモーターにとっては、レスラーは大切な商品。

 売り出したいレスラーの技を綺麗に受けてみせることがレスラーの実力のひとつである。

 もちろん、怪我をしたり、させたりして、興行に穴を開けることはご法度だ。

 それが、長じて、彼は当時、世界最高峰といわれたNWA世界王座に8度も君臨した。

 彼の代名詞技、ダイビング・ヘッドバットは決まれば、説得力のある技なのだが、自爆したときの自らのダメージは想像以上。

 いつも、冷や冷やしながら、見ていた。

 それから、もうひとつの決め技、ブレーン・バスターは垂直落下式ではなく、空中で大きな弧を描いて投げる”バーティカル・スープレックス”といわれるタイプ。

 マットに叩きつけたときの見栄えの割には受け身の取りやすい彼らしい技だ。

 NWA王者になってからは”豚面”に、渋みが加わって、KINGらしい風格を漂わせるようになっていた。

 タフで不死身と思われたミスター・プロレスだが、76歳で逝ってしまった。

 

 

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