白馬村逍遥 ② ~青鬼(あおに)集落とその周辺
信濃森上駅横を抜け、水田や池に山が映る撮影ポイントを探しながら、「青鬼集落」を目指す。
くねくねとした山道を登っていくと、正面に五竜岳の勇姿が見えた。
山頂横には四っの菱形を組み合わせたような「武田菱」と呼ばれる雪形が現われている。
戦国時代に、白馬村一帯は武田氏が領有しており、武田氏の御紋である「 武田菱」は地元では身近な存在だったようだ。
かつては 山名を御菱(ごりょう)岳と呼んでおり、五竜岳の山名の由来になったといわれている。
偶然かもしれないが、手前の川も「四っ菱」に見えた。
山道を登り詰め、やっと、重伝建保存地区である、山村集落「青鬼(あおに)」に辿りつく。
江戸時代から明治時代にかけて建てられた大型古民家が密集して建ち並び、ノスタルジックな雰囲気である。
中二階建てのものは、正面の屋根をすっぱりと切り落とした「かぶと造り」と呼ばれるもので、二階部分の採光と風通しを良くした建築様式。
正面から見ると、確かに武士の兜のよう。
(以下のような伝説がある)
遥か昔、鬼無里村に鬼のような大男が現れ、村人を苦しめていました。そこで人々は、岩戸山の中腹(青鬼集落の近く)に位置する底なし穴に大男を閉じ込めたのです。しばらくして、その大男が村に現れるようになりましたが、今度は人々を苦しめるどころか、助けるようになったといいます。 村人たちは、大男が穴を抜ける際に魂が入れ替わったのだろうと考え、以降はその大男を「お善鬼様」として祀るようになりました。