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インドの買い物

2023年03月28日 | 旅・外国
インドの街を歩いていた。陽光が照りつける灼熱の大地。人もリキシャ(人力車)も自動車も砂煙を立てながら混在となって動いて行く。

突然、背中を突き刺す感触が。振り返るとそこはヒンズー教で「聖なるもの」と崇められている牛がいた。

僕はノドが乾いていた。黒い看板の出ている店が「サトウキビジュース屋」らしい。

近づいてみると、看板が黒いのでは無く、透明なアクリル板に無数のハエがびっしりタカっていたのである。

そんな事で驚いていてはインドを旅する事は出来ない。僕は勇気を出して、サトウキビジュースを買い、一気に飲み干した。甘すぎず喉ごしがとっても良かった。

「生水」を飲まない様にと「地球の歩き方」にも書いてあり、現地のガイドさんもそう言っていたが、僕はその注意を守っていたにもかかわらず、酷い下痢をした。

どうも、昨夜飲んだウィスキー水割りの中に入っていた氷がまずかった様だ。氷は現地の水を凍らせたものだったのである。

そんな時は抗生物質を飲んでホテルでじっと寝ているに限る。インドの街で公衆トイレを見つけるのは至難の業だからだ。この下痢、正露丸などは全く効かない。インドに行く時は医者に事情を話し、抗生物質を処方してもらうのが良い。

下痢が治りかけると、土産物を買いに外出する。この買い物がまた大変なのだ。

お店で欲しいものがあるとする。

「How much?」と聞く。

「1500ルピー」と店主。

「200ルピー」と僕。

店主は両手を挙げて、それはあり得ないというポーズ。

「1300ルピー」と渋々、店主が言う。

「300ルピー」と僕。

「1200ルピー。This is my last price!」と店主。

「他の店を見て来ます」と僕。

店から出て歩き出す。するとインド人の店主は僕を追いかけて来るのである。

「1100ルピー」と店主。

「さっき1200ルピーがlast price と言うたやないか」と僕。

2人で店に戻り、値段交渉を続ける。何度も店から立ち去る素振りを見せる僕。その度に追いかけて来る店主。

これを延々と続ける。
交渉結果は500ルピー。
何と最初に店主が言った値段の1/3だ。

だから、インドで買い物をする時は1つ買うのに30分以上かかる。

アフリカ・ジンバブエでの買い物も同様だった。

多分、ツアー客は店主の言い値で買っているのだろう。

関西人の僕は「値切る事」を当たり前と思っている。

関西のおばちゃんは百貨店でも値切る。値切れなければ、
「何か付けて!」と付加価値を狙う。

それにしても、インドを旅するには日々エネルギーが必要だ。

インドという国は、「とっても好きになる」か「二度と行きたくない」かに分かれる。

潔癖症で、あまりエネルギーを使いたくない方には、全てのホテル・観光地が付いたツアーに参加する事をオススメする。

今、思い出したが、インドの絨毯屋。店に入るとギンギンに冷えたコーラがツアー客全員に配られる。外は灼熱、土煙り、非常に暑いので、とても嬉しいサービスかの様に思える。

しかし、100円位の冷たいコーラを出して、
「何か買わないと申し訳ない」と日本人に思わせ、1つ何十万円もする絨毯を買わせるのである。

もう一つ。絨毯屋の店員は放っておくと、次々と絨毯を広げて見せる。際限なく。こちらも日本人の心に響くのである。

「こんなに広げさせて、直すのが大変なのでは」

こう思ってしまったら、お客の負けである。絨毯はそんなに安い物では無い。

ツアーでインドに来ているのだから、多少高くても記念に買っておこうとなる。

インド人は強かである。それに日本の旅行代理店は絨毯屋からバックマージンを貰って、観光ツアーの中に絨毯屋を組み込む。

買わなくてもいいよ、と表向きでは言いながら、日本人はついつい買ってしまう。

僕もニューデリーの絨毯屋でペルシャ絨毯を1枚買ってしまった。

それも今は旅の良き思い出となっている。

インドという国は「生きている」。「生きる目的を見失った日本人」が行く国としては最高である。

女優の中谷美紀さんが何かの本で、「インド」の事を「自分を見つめ直し、生きて行く方向性を決めてくれた国」だと書いていた。

僕は「インドを好きになった人」。機会があれば、また行きたい。

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