ニュースキャスターの筑紫哲也氏(71)が14日、メーンキャスターを務めるTBS系番組「筑紫哲也 NEWS23」で、初期の肺がんを患っていることを告白した。治療のため15日から番組を休養する。人間ドックで腫瘍(しゅよう)が発見されたもので、生番組冒頭「先週、初期の肺がんと分かった。症状は克服できるので、また戻ってきます」と気丈に語った。
午後10時54分、番組が始まると筑紫氏は淡いピンクのスーツ姿で、普段は中盤以降で放送する人気コーナー多事争論のフリップを取り出した。そこには番組が取り組んできたテーマでもある自筆の「がんを生き抜く」の文字があった。「自分はがんにならないと根拠のない自信を持っていましたが、先週、初期の肺がんだと分かりました。症状は克服できるということで、しばらく治療に専念します。がんにうち勝って、また戻ってまいります」。
1分40秒ほどで多事争論を終えると、その後は、何事もなかったように通常のニュース報道に入っていった。ただし、放送したTBSでも知らされていた関係者は、ほとんどいなかった。筑紫氏の窓口となっていた同局広報担当も、都内の自宅で見た生放送で知り、急きょ会社に戻った。
筑紫氏は4日から7日まで毎年恒例の春休みのため、番組を休んでいた。その期間で毎年受けている検査入院で腫瘍(しゅよう)が発見された。事実は、放送直前に番組幹部など一部にしか伝えられていなかった。異例の生放送によるがん告白の直後、東京・赤坂の同局には問い合わせの電話が相次ぎ、取材陣が訪れた。同局は「番組でお伝えした通りです。TBSでは、筑紫キャスターを尊重し、1日も早い復帰を、全国の視聴者とともにお祈りしたいと思っております」とコメントした。15日の放送から休養するが、17年半務めている同番組を、病気により長期休養するのは初めてだった。
筑紫氏は今年4月の都知事選で、複数の政党から水面下で立候補を打診されていた。しかし、朝日新聞出身で、長らくアンカーマンを務めてきたジャーナリストとしての自負は強い。「ジャーナリストが天職であり、自分の仕事が政治より重要ではないとは思っていない、政治家になるつもりはない」と断った。適度に休暇を取りながら検査入院を受けるのも長く、報道に携わるためだった。
89年、夜10時以降のニュース番組は久米宏氏(62)の「ニュースステーション」(テレビ朝日系)が人気独占状態の逆風の中、「NEWS23」のキャスターを引き受けた。「多事争論」などの評論で人気を得て、「NEWS23」を民放を代表する番組に育てた。95年にTBSがオウム真理教幹部に、教団と対立していた故坂本堤弁護士のインタビュー映像を見せた問題が発覚した。筑紫氏の「TBSは死んだに等しい」の発言は局内外に波紋を広げたが、キャスターとしての強い責任感の表れだった。告白に番組を選んだのも、キャスターとしての責任だったのかもしれない。
番組終了の間際、膳場貴子さん(32)らキャスター陣に「明日から休みますが、留守の間よろしくお願いします」と締めくくった。後任を置く予定はない。
[日刊スポーツの紙面から]
「癌の告白」と言えば、元・フジテレビアナウンサーの逸見さんの会見が心に残っている。その年の年末年始、家族でイギリス旅行に行き、帰国した時、逸見さんの訃報を聞き、ショックだったのは忘れられない。筑紫さん、ゆっくり休んで元気になって欲しい。
午後10時54分、番組が始まると筑紫氏は淡いピンクのスーツ姿で、普段は中盤以降で放送する人気コーナー多事争論のフリップを取り出した。そこには番組が取り組んできたテーマでもある自筆の「がんを生き抜く」の文字があった。「自分はがんにならないと根拠のない自信を持っていましたが、先週、初期の肺がんだと分かりました。症状は克服できるということで、しばらく治療に専念します。がんにうち勝って、また戻ってまいります」。
1分40秒ほどで多事争論を終えると、その後は、何事もなかったように通常のニュース報道に入っていった。ただし、放送したTBSでも知らされていた関係者は、ほとんどいなかった。筑紫氏の窓口となっていた同局広報担当も、都内の自宅で見た生放送で知り、急きょ会社に戻った。
筑紫氏は4日から7日まで毎年恒例の春休みのため、番組を休んでいた。その期間で毎年受けている検査入院で腫瘍(しゅよう)が発見された。事実は、放送直前に番組幹部など一部にしか伝えられていなかった。異例の生放送によるがん告白の直後、東京・赤坂の同局には問い合わせの電話が相次ぎ、取材陣が訪れた。同局は「番組でお伝えした通りです。TBSでは、筑紫キャスターを尊重し、1日も早い復帰を、全国の視聴者とともにお祈りしたいと思っております」とコメントした。15日の放送から休養するが、17年半務めている同番組を、病気により長期休養するのは初めてだった。
筑紫氏は今年4月の都知事選で、複数の政党から水面下で立候補を打診されていた。しかし、朝日新聞出身で、長らくアンカーマンを務めてきたジャーナリストとしての自負は強い。「ジャーナリストが天職であり、自分の仕事が政治より重要ではないとは思っていない、政治家になるつもりはない」と断った。適度に休暇を取りながら検査入院を受けるのも長く、報道に携わるためだった。
89年、夜10時以降のニュース番組は久米宏氏(62)の「ニュースステーション」(テレビ朝日系)が人気独占状態の逆風の中、「NEWS23」のキャスターを引き受けた。「多事争論」などの評論で人気を得て、「NEWS23」を民放を代表する番組に育てた。95年にTBSがオウム真理教幹部に、教団と対立していた故坂本堤弁護士のインタビュー映像を見せた問題が発覚した。筑紫氏の「TBSは死んだに等しい」の発言は局内外に波紋を広げたが、キャスターとしての強い責任感の表れだった。告白に番組を選んだのも、キャスターとしての責任だったのかもしれない。
番組終了の間際、膳場貴子さん(32)らキャスター陣に「明日から休みますが、留守の間よろしくお願いします」と締めくくった。後任を置く予定はない。
[日刊スポーツの紙面から]
「癌の告白」と言えば、元・フジテレビアナウンサーの逸見さんの会見が心に残っている。その年の年末年始、家族でイギリス旅行に行き、帰国した時、逸見さんの訃報を聞き、ショックだったのは忘れられない。筑紫さん、ゆっくり休んで元気になって欲しい。
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