思考の踏み込み

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完璧7

2014-04-29 05:18:07 | 
さて、「完璧」という主題でいくつかの実例をあげて書いて来たが、そもそも完璧とは一切傷のない完全な「璧」をいう。

璧とは宝玉のことで、「壁」ー かべではない。



だが、この世に果たしてまったく傷のない完全な玉 (ギョク) など存在し得るだろうか ー ?

または完璧過ぎることは人間の社会性という観点からはけして至上の価値観とは限らない。
完璧主義者などは近くにいたら息が詰まってしまうだけだ。

本当にモノが観えている者は、完璧であるところからあえて一点ズラすことで気を抜き、他者と協調するために柔らかく自然体であろうとするものだろう。

だが完全な球体が存在しない様に ー 地上には本来 実在 (sein) しない "璧" という、ある種架空の "至高" への憧れというものは、尽きる事のない人間の本能でもある。



それは構造上において "美" と同質であり、芸術や技芸の世界において完璧を目指す事は当然な欲求なのだが、容易な事では満たされない感情でもある。

その容易でない事を、仕事や生き様や、記録や作品といった何らかのカタチで現出してみせた人々というのが今回の主題である。

そして "完璧" であるということは、仮にその "璧" を円として捉えるならば、そこには "美" の他に "自在性" を伴う。

"自由" という、近代語として使われて複雑なイメージを持ってしまった言葉よりもこの "自在" の方が個人的には好きな言葉である。



それは融通無碍という言葉につながり、前途した達人たちの境地に近く、生きていく上で目指すべき指針として考えると極めて優れた「思想」といえるだろう。