思考の踏み込み

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完璧5

2014-04-27 02:08:59 | 
ヴォルフガング アマデウス モーツアルト。

モーツアルトというよりも彼の音楽。



伝えられた彼の人物像や残された手紙などを見る限りにおいて、小学生もいわないような低俗で卑猥な冗談を言って大喜びしていたり、軽薄としかいいようのない行動に終始したりと、知性や人格の高さなどは微塵も見られない。

問題はその事と彼の生み出した音楽の内容がまったく関係していないということだろう。

いや関係しているとすれば、気取る事なく直感そのままに、子供の様に生きていた ー という、好意的にみればその点が音楽という ー 知性より感覚が多く支配する世界において、有効に働いていたと取れなくもない。

同時代を生きたもう一人の "ヴォルフガング" ヨハン ヴォルフガング ゲーテはこの天才の音楽の理解に苦しんで次のような言葉を残している。

「モーツアルトという現象は説明のつかない奇跡のような現象であり、決して誰も到達できないデーモニッシュ(魔神的) な力によって生み出されたものだ ー 」

モーツアルトという "現象" とはまったく上手く言ったものだと思う。

彼は人間であるよりも確かに何かの現象とみた方が的を射ているかもしれない。

あるいは音楽の女神ムーサの使い魔か堕天使あたりが地上に間違って紛れ込んだか?

(musaが転じてmuseやmusicとなる。)

モーツアルトの音楽が ー 例えばベートーベンのそれが、大地を踏みしめる様に手触りの確かで人間くさい音楽であることとは違って ー 天上の澄み切った軽やかな音の様であることも、彼が譜面に書き始めると既に完成していてほぼ手直しがなかったという事も、彼が天から降って湧いたと考えればなんとなくわかる気もする。

その人格からは知性を感じ難いと言ったが、彼の作曲法はバッハやハイドンの古典を踏襲し、その上で天才的な独創を加味したものであるから、こと音楽に関しては知性どころか人類史でも最大の頭脳の一つだろう。

雑談しながら数曲同時に作曲してたとか、短い生涯で41もの交響曲を書いていることなどに加えて、彼の作曲法は真似ようとしても誰も出来ないものだといわれることも、モーツアルトがまぎれもない天才である証だろう。

その音楽はやはり "完璧" で他の追随を許さない超絶した世界である。



この ー 地上に紛れ込んだ天才は自らを天上へ送り返すように鎮魂曲 ー レクイエムを作曲してこの世界を早々に去ろうとしたが、現世の肉体は彼の魂のスピードに追いつかなかったのか、残念ながら未完で終わった。

それでも揺るぎない名曲である。