白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―促成栽培イチゴは薬漬け?―

2014年11月26日 | 苺栽培

植物の持つ光周性、長日性と短日性とがあり、それぞれで開花結実の時期が違って来ます。日本で一般に営利栽培されているイチゴは短日性であり、秋からの低温・短日で花芽を形成し、翌春に開花・結実する一季成り品種ですが、それを無理に低温・短日処理をして早く花芽分化させ、年内からビニールハウス等、施設温室で開花結実を開始させる促成栽培と呼ばれる方法で、そのイチゴは作られています。

 

―典型的なオランダイチゴの姿ーWikipediaより

その1季成りイチゴ、普通北半球では5月から6月が収穫時期となる事から、英語では、“June Bearing Strawberry”と呼ばれているのですが、其の他に、一年を通して花芽形成し、開花・結実をする長日性の四季成り品種、“Ever Bearing Strawberry”、又特に光周性を持たず、長日でも短日での無いとされる Day‐Neutral Strawberryと呼ばれる品種も欧米では作出されています。

 イチゴは一般に冷涼な気候を好み、日本のような高温多湿な気候条件では、どちらかと言えば栽培には不向きであり、その上に病虫害の発生も多く農薬のお世話に成り易い作物であります。

以前のブログ 「―苺が学べる総合情報サイト―苺は汚れている!」でも触れましたが、世界でもイチゴ生産量が最も多いアメリカでも、林檎の次に農薬汚染度が高いと指摘されている果実に 「イチゴ」が揚げられています。

 

―広大なアメリカのイチゴ畑風景―WebPhotoesより 

扨て、日本で行われているその1季成りイチゴの促成栽培ですが、先ず大切なのが其の栽培法に合わせた苗作りであり、一般的に親株から発生する弦(ランナー)を晩春から伸ばしてポット詰め用土等に着床させ、切り離して子株を育てる栄養繁殖で育苗されています。

丁度其の時期は、イチゴにとっては苦手な病害虫の発生しやすい梅雨期から夏の高温期に当たり、親株から発生するランナーからの育苗では、親株をはじめ、ランナーが伸びて着床する子株共々徹底した病虫害防除が必要とされ、特に立枯性病害である炭疽病と疫病が発生すると、苗が全滅する怖れがあり、高い頻度での定期的な薬剤散布が欠かせないと言います。

 

-空中採苗中の小苗作りーJA全農とちぎHPより

しかし、そうした高頻度の薬剤散布が育苗時から繰り返されると、作物は大なり小なり自ら持つ、病虫害に対する抵抗性を、殆どと言って良い程失って仕舞うのであり、イチゴも例外では有りません。

 其の事は、先のブログ、「農薬が農薬を呼ぶ!の中でも触れましたが、植物の組織や細胞内には、病原性を発現する事の無い真菌やバクテリアが共生し、その宿主植物との相互関係は未だ良くは判って居ないと言いますが、干ばつ等の非生物的ストレス、虫害、草食動物の食害の抵抗性の改善効果、宿主を病原性菌から守るバリアー効果、競合する他植物の抑制阻害物質を生成するアレロパシー効果等、様々な有益な相互関係効果が得られる事が様々な研究から分かっています。

 それが言う迄も無く、本来植物が無農薬であっても、生育できる病原菌抵抗性を持つ免疫効果であり、其の持つ固有の遺伝子の病虫害抵抗性にも依りますが、それ程に農薬漬けにしなくても、普通の栽培法であれば、壊滅的な被害となる事は無いのが植物の本来の姿です。

 其の事を見事に実証したのが 木村秋則さんの奇跡の林檎と呼ばれる、無農薬で林檎の木の持つ病虫害抵抗性を何年も掛かって栽培土壌と共に或るレベルまで回復させ、無化学農薬無施肥の林檎栽培に成功した話であり、今では林檎栽培ではその話を知らない人は先ず居ない程、広く知れ渡っています。

 

―奇跡の林檎の木村秋則さんのネットサイトより―

しかし、日本の促成イチゴ栽培、本来ならイチゴの病虫害の発生時期には当らない、冬季にわざわざ加温、日長にして、開花・結実できる環境を作ってイチゴを収穫するのであり、もし、農薬散布を怠って、ひとたび病虫害が発生したら、大被害を蒙る事になるのです。其の為に、先行しての苗作りからの病虫害防除、何とその薬剤散布回数は、育苗から合わせると数十回に及ぶと言いますから並みの事では有りません。これぞまさに、日本のハウスイチゴ栽培は薬漬け?であり、その完璧を期する技の所産です。

 其の為に使われるイチゴの登録農薬も亦大変な数であり、生産者は病害虫の農薬抵抗性の発現を考慮して、薬剤選択に取り替え品替え腐心していると聞きます。

 それでは、開花・結実期での農薬散布、受粉の為に放たれる蜜蜂やダルマ蜂の扱いをどのように対処されているのでしょうか。収穫期に入っての農薬散布、果実の農薬汚染を思えば、必要でも先ずは控えるのが当然かと誰もが思うのですが、それを問うのも一寸気の毒で、言い出すのも憚れます。

 

―ハウス栽培では蜜蜂による受粉が大切!-JA全農とちぎHPより

そんな事から、先のブログで、独立行政法人「農研機構」の中の九州沖縄農業センターからの2008年に情報公開された 「四病害複合抵抗性で果実揃いに優れるイチゴ新品種 カレンベリーの話を紹介したのですが、当のイチゴ生産者には、其の持つ、四病害複合抵抗性大きなインパクトとはなって居るようには思えません。

其処には消費者の受け取り方に認識不足があり、生産者にとっては消費者の理解があっての話であり、イチゴの薬漬け?それを減らす努力はされているのでしょうが、根本解決は未だ先の時間の掛かる話と言う事かも知れません。

 

耐病性イチゴカレンベリーWebPhotoesより

尤も今では、収穫日の3日前、収穫前日まで散布可能とある薬剤がありますが、3日や1日で無毒になると言う意味でしょうか? そんな便利な殺菌殺虫剤が登場して、イチゴ狩りで洗いもしないで摘まんでその儘食べても平気な?農薬の出現、それなのに、その使用回数の制限が決められて居たりして、その中に古参の有機リン系のマラソン乳剤あり、今問題にされているネオ二コチノイド系もあり、その判断、利用者の自己責任と言う事でしょうか、一寸理解に苦しみます。(JACOM 現場で役立つ農薬の基礎知識 2013】[16]イチゴの施設栽培防除)イチゴ主防除薬剤一覧より

 しかし、そうした商業栽培いちごの実態はさて置いて、イチゴの本当の美味しさは、農薬などの心配の無い、たわわに成り下がるイチゴの完熟を見測って、取って直ぐ安心して食べられることであり、それが熟せば傷み易く、先取りでは追熟しないイチゴの本当の食べ方では無いでしょうか。

 

―イチゴ狩り風景―Web画像より

多くの方がその美味しさを求めて、イチゴ摘み、イチゴ狩りに出掛けるのでしょうが、日本の促成栽培イチゴ、そんなイチゴに対する思いに如何応えているのかと思うと、致し方の無い事でしょうが、薬漬けではどうしも納得できないのです。

 それで始めた趣味栽培ですが、喩え僅かでも、イチゴ収穫の楽しみが味わえる小さなポットのイチゴ養液栽培、今年は僅かの12鉢ですが、末子孫がそのイチゴを取って食べる 「イチゴ摘み」気分を味わう姿を見る来春が楽しみです。

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