白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―バイオ集約的な菜園活動―

2016年08月20日 | 農法

環境保全活動 「エコロジーアクション」は、今や世界中で環境を守るキーワードとなっていますが、その課題は多々あり、その中でも高い関心が寄せられているのが環境保全の一環としての持続可能な農業であります。

先のブログで言及した日本のユニークなエコファーマー制度も亦、その農産物の消費者の理解が農業の環境保全活動の推進に貢献し、結果的には消費者の心身の健康の維持促進にも繋がります。

自給自足する家庭菜園等での野菜類を無農薬且つ有機肥料を中心にして育てる事は、誰もが心掛けるべき「エコロジーアクション」であり、それが本来求められる持続可能の農法に他ありません。

しかし、一般の家庭菜園では環境保全活動を如何捉えて具体的に実践していくか、新しい知恵は有りそうに思えて中々見えて来ないのであり、多くの方が相変わらずの常識的な栽培法に甘んじているのが現状ではないでしょうか。

 

ーエコは命あるものすべて認めるコンセプトーWebPagesより

実は以前にも一度取り上げて紹介した事があり、ご存知の方も居るとは思いますが、有機栽培方式の一つとして、世界140か国以上で採用されていると言う、日本でも講演で紹介された事があって今尚活動を広めている 「バイオ集約活動」 “Biointensive Action”と銘打った有機集約的農活動があります。

 

-イメージ Biointensive Action―

そのコンセプトの特徴は、最小限の農地面積で土壌の改善を図りながら、その肥沃度を維持する一方で、如何にして最大量の収穫量を揚げるかに集中するかと言う有機農法システムであります。

そのゴールは、長期に亘る生産の持続性と自然とは隔離するクローズシステム農法であり、特に自由自足を目的とする家庭菜園や発展途上国等の小面積農業にあるのですが、小規模となる商業農業生産にも適していると言うのです。

日本にも、そうした農法に似たユニークな農法コンセプトは色々以前からあり、昨近では高齢化や地域過疎化で進む農業の衰退で耕作放棄地の発生が問題となる中、新しく農業に興味を持ち、岡田茂吉や福島正信の「自然農法」などの影響を受けた若い方々が自らの信念で無肥料栽培や無耕起栽培など、環境保全に繋がる農業を求めていろいろと試行錯誤を試みられて居る話がネット上で見かけます。

 

-見学会のフォトBiointensive Action―

一方、日本の有機栽培農業と言えば、欧米先進国に倣って制度化された有機JAS法の施行があり、制度の推進の為に国や自治体に依る関連活動も亦、色々と法制化されています。

しかしながら、有機栽培の推進には技術的に多くの課題を抱えて規模拡大は容易では無く、生産量や生産コストではその需要や市場要求にとても応え切れないのが実情であり、日本の有機農業は欧米先進国と比べると、その普及率が一桁以上も低い状況にあり、アジアに於いてもお隣りの韓国や中国よりもその占める割合は劣っています。

何故でしょうか。有機農業及び有機農業により生産される農産物の普及には消費者の理解の増進が重要であると言われながら、有機農業は、農業者その他の関係者の自主性を尊重しつつ推進するとされ、それが日本の農業生産者の高齢化、農業地域の過疎化、農産物需要の伸び悩み等があって、時代の趨勢でもある有機農業の本質的な必要性に一般理解が滞っているのであり、健康志向時代にあって肝心な思考力が停滞している、ある意味での「ジャパンシンドローム」と思えてなりません。

 

イメージフォトBiointensive Action―

扨て、その“Biointensive Action”ですが、生来の作物栽培好きが嵩じて作った外房の僅かなスペースの自家菜園、老骨が己の器量も顧みずに遊農に狂じる余り、家庭菜園向け等の小面積の高生産農法と聞けばそのコンセプト、とても関心を持たずには居られなかったのです。

そのバイオ集約農活動を紹介している海外サイト情報を見たのですが、家庭菜園を実施されている多くの方々にも充分参考になる筈であり、改めてそのポイントを紹介させて頂き、私見を申させていただきます。

 

―John Jeavons

Director, GROW BIOINTENSIVE Mini-Farming program

先ず、其処にある 「バイオエクステンシブ」と言う言葉の意味ですが、其の概要の冒頭に、「我々は何世紀にも亘って受け継がれて来た古い農耕システムに注目し、その科学的な原理の発見と究明に献身してまいりました」とあります。

その結果で行き着いのが、「バイオエクステンシブ」であり、その基礎となるコンセプトは下記の8つの基本的な側面(アスペクト)、見地で構成されている」と書かれています。

  • Double-Dug, Raised Beds 2倍の耕起深さの高畝栽培
  • Composting          堆肥化作業
  • Intensive Planting      集約的な栽培作付
  • Companion Planting     混植(コンパニオン)作物栽培
  • Carbon Farming       炭素導入栽培農法
  • Calorie Farming       高熱量作物の栽培農法
  • The Use of Open-Pollinated Seeds 在来固定種の種子利用
  • A Whole-System Farming Method  統合システムとしての栽培農法

そして、其の各々観点を次のように解説して居ます。

自然の中で育つ作物は、土壌と水と空気と太陽光の接触面(インターフェース)のもとで育つのであり、

バイオ集約農活動では、その土壌接触面を最大とするところにその要点があります。

一般の作土深さの2倍の60cmすることで、土壌の持つ養水分、空気供給量を増やし、作物の根系の発達を促進して養分摂取の増大を図る。

 

-天地返しのイメージFrom Biointensive Action―

深い耕土の健全な根域を確保するキーポイントは、健全な堆肥の施用であり、充分な空気量を含む膨潤な作土作りに依って、適切な水分量が常時保持され、作物根系の健全な発達が図れる。

作物の植え付け間隔を狭めて、土壌生息微生物を守り、水分の蒸散損失を減らし、収穫量の増大を図る。

コンパニオン作物を導入する事で、摂取養分の均衡を図り、光量や水分量、有益昆虫を含めた変化あるミニエコシステムを栽培地域に創生できるように図る。

穀物類などの高熱量を含有する作物等、土壌への炭素の土壌還元作物を作付する事で、安定した土壌の炭素含有条件をもたらし、農地土壌の持続性を図る。(稲作水田圃場を参考)

自家採取できる、解放受粉型の固定品種の種子を利用する事で、多様な作物遺伝子の保全を図り、栽培者が、自らその土地気候条件に適した品種を開発して固定できるように図る。

これらの全て要素を、農業システム体系として同時に導入する事によって土壌の劣化を避けて最適な生産効果をもたらすように図る。

 

-堆肥資材の積み上げイメージBiointensive Action―

以上がそのコンセプトの概要ですが、其の実践結果から、このバイオ集約農活動で育てるミニガーデン栽培法は、省資源化が図れ、大きな効果が得られると言うのです。

バイオ集約農活動で育てるミニガーデン農法は、旧来からの優れた実践農法を科学的に検証する形で統合された、システムとして構成要素を再構築した農法と言う事です。

単なる方法論では無く、其の結果としての効果、その持続性についても充分研究されて居り、今日の日本の土地条件、国土事情にも最適なエコアクション農法として、採用に充分値すると考えられます。

それでは此処で、日本の一般的な家庭菜園に導入して充分に効果が期待できる上記の8つの項目について考えてみますが、先ずは作土を深くする考え方、30cmずつの深さ60cmの深耕天地返しを行い、十分な土壌空隙を封入して自然の高畝作付ベットする事です。

次には、たい肥の導入ですが、有機栽培の基本となる自然からの贈り物の有機腐食による土壌の基本的な機能条件、物理性、化学性、生物性の維持向上の為の主体作業にする事です。

その次が、集約的な栽培作付であり、各個体の十分な光合成量を考慮しての密植栽培であって、栽培密度を上げる事で固体の異常な繁茂を抑え且つ雑草の繁茂する余地を無くし、良好な収穫品質と収量を確保する事です。

 

整然と並ぶ高畝栽培ベットBiointensive Action―

その次は、コンパニオン作物の導入であり、農作物には作付けで相性の良し悪しがあって栽培季節を考慮して生育期をずらし、異なる作物を間作の形で混植する作付栽培を勧めると理解いたします。

家庭菜園であっても地域によって適した作物や作付適期があり、それと育てたい作物と組み合わせを上手に決めて、その相性や混植効果を期待する事に成るのですが、自ら経験するのが大切であり、昔から言われる 「となり百姓」の意味の大切も其処にあるのです。

その次の炭素導入農法と高熱量作物農法ですが、家庭菜園の一般常識では一寸理解に苦しむ事項のように思えますが、その意味は、当にバイオの中心的な要素であり、有機栽培は全くの地力栽培であって土壌微生物作用に頼るのであり、その土壌微生物のエネルギー源が他でも無い炭素と言う事です。

堆肥でよく言われる適切なC/N比、その意味はエネルギー源の炭素だけは土壌微生物の活動に必要な窒素が不足して支障を来すのであり、一定の窒素の補足が必要で炭素とチッソの割合が示されるのです。

その炭素の積極的な導入は有機農法では特に大切であり、作付け作物の残渣で高エネルギー源となるのがイネ科作物であり、家庭菜園で陸稲(オカボ)や粟(アワ)等を植え付け出来ないのであれば、トウモロコシだけは毎年作りたいものです。尚、トウモロコシの収量、一本に一本だけでは無く、その脇芽の2-3本も亦ヤングコーンで利用できる事も忘れずに。

その次の固定種の作物の利用のですが、F1種と対比してみれば多くの利点がありその中で、最も大切なのは自家採取種子での栽培ができる事であります。それにまた農薬も化学肥料無しでも栽培が可能な、自然栽培向きの丈夫な成長力を固定種は備えています。

 

―固定種野菜は家庭菜園の花形作物です!-WebImagesより

それでは最後の「統合システムとしての栽培農法」ですが、その大切さどこにあるとお思いですか。今や市場に並ぶ野菜類の殆どが化学肥料中心の単作による集約農法の収穫物であり、それを支えているのが、除草から連作障害を抑える土壌消毒に多彩な病虫害防除と、初めから終わりまでの多彩な農薬の使用管理下での生産体制であります。
日本の農薬常識を支えられて居るのは安全神話?であり、その使用は定められた用法が順守される限り人には安全であり、一生食べ続けても健康に影響が生じる心配は無いと思われています。しかし、人間にとっても農薬はまったく無害では無く、生涯の安全等誰にも保障されていません。

 

―薄めれば農薬は安全と思っていませんか?-WebImagesより

農薬は薬物ですから一旦使い始めると、必ず相手には耐性が生じて効力が落ちるのであり、その結果が継続散布量の増大に繋がるのであり、その上に落ちる効力により優れる農薬が次々と必要にもなるのです。

やがて作物に農薬依存連鎖が生じ、農薬頼りの農業生産が常態化してその使用量が増えても減らす事の困難な、日本が世界一の農薬使用大国になってしまった理由です。

生物には薬物を常用すれば農薬に限らず必ず副作用が生まれるのであり、はじめは一時的な駆除目的の薬剤であった筈が、増える抵抗力に薬効を持続させる為の常用薬が必要となり、その使用量や使用回数の制限を受ければ、薬種を替えて使用継続しなくてはならない、いわゆる農薬漬けが常態化する、それが日本の農薬多投化の現状であります。

―カルフォニアの大規模集約農法のイチゴ圃場の収穫作業―WebImagesより

その農薬の使用量を削減するには、圃場の統合システムとしての多彩な作付管理体制が必要であり、病虫害の発生を根本から減らせる健全な作物生産には、特産地の単作農業のような極端に農薬や化学肥料等に依存する生産体制からの脱却が何よりも必要であります。
バイオ集約栽培農法の此のコンセプトの意味は、エコの大切さ、作物の自然のシステムに沿っての育成管理、其処にあると言うことです。この様なコンセプト、家庭菜園に精進されて居られる方々の実践農法の参考になるとは思いませんか?

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