以前のブログでも触れた事が有りましたが、ハイドロポニックス発祥の国アメリカは、未だ世界のどこの国でも認めて居ない有機ハイドロポニックス農産物が認可されて居り、アメリカ市場では一般の土壌栽培の有機認証生産物と同等にオルガニックハイドロポニックス農産物の販売が許められて居るのです。
―アメリカはオルガニックが野菜や果物の代名詞―WebImagesより
それでアメリカ国内では、一般土壌に替わるココファイバー、堆肥等の有機質媒体と有機液体肥料で育てる有機ハイドロポニックスの商業施設栽培が盛んであり、一方では非土壌栽培であっては “オルガニック”理念に背くと異論が唱えられ、一部では有機認証の停止の請願運動が起こって居るとネット上に有りました。
ご存じのように、オーガニックとは、認可された手法で生産された食品、あるいはその他農業製品のことを指す、表示用の用語であります。
その手法とは、資源の循環を育み、生態系のバランスを整え、生物多様性を保護することが可能な文化、生物、機械を使用して行う農法を取り入れたものであり、化学合成肥料や下水汚泥、放射線照射、遺伝子操作は使用してはならないと言う事であり、栽培媒体としての土壌に就いては厳密な意味での定義が明確に規定されて居りません。
―今やホビーハイドロポにクスもオルガニックが常識!-WebImagesより
それですから、ハイドロポニックスであっても有機認証は可能ですかと聞かれると、その質問に答えるには基より難解であり、奇異な事に住む国に依って替わると言う事になると言うのです。
“オルガニック”作物生産となると、私達一般には土壌としっかり結びついてのコンポストや厩肥、其の他の自然物だけが唯一の肥料供給資材であり、非土壌生産の高度テクノロジー栽培とは程遠いと思って仕舞うが常で有ると申せます。
しかし乍ら、アメリア合衆国にあって作物を育てる場合、有機栽培法で認可されていれる投入資材が正しく利用されている限り、喩え非土壌ハイドロポニックス方式であっても多くの場合で間違いなく有機栽培として認証されるのであり、且つ法的にも正規の有機生産物であると考慮されると言うのです。
それが隣国のカナダに住んで居たら、或いはそれ以外の多くの諸外国でも同じであり、有機栽培とラベルを張る事の出来るハイドロポニックス方式はもとより論外とされて考慮の対象外で有り、土壌はオルガニック作物生産の基礎であるとする、当初からの考え方が理屈抜きで踏襲され、且つそれが常識とされているのです。
―アクアポニックスは有機ハイドロポにクスの原点!-WebImagesより
其処がアメリカの違うところであり、合衆国農務省の全米有機農業プログラムの下では、ココファイバーやパーライトなどの非土壌媒体、及び有機液体肥料が有機栽培用資材として認可されているであり、それらを用いるハイドロポニックスシステムは法的に有機栽培としての認証が可能です。一方隣国のカナダの有機栽培基準ではそれを、“ハイドロポニックス及びエアロポニックスを用いる事は控えるべし”と定めて居るだけの違いと言うのです。
これはまさしく、有機ハイドロポニックス栽培が有機栽培と言えるかどうかの解釈の仕方だけでしか無く、アメリカが要件を満たせば無土壌栽培を有機栽培として認めているのに対し、他国が唯、土壌栽培以外は有機栽培とは認めないとする違いであり、その住む国で認可基準が異なる結果に他なりません。
そこで問題になるのが有機栽培農産物の輸入食品であり、自国で通用するオルガニック食品が輸出先では認められない問題が発生する事が考えられます。
―有機ハイドロポニックスミニトマトタワーWebImagesより
どちらしても其の違いは、有機認証栽培の商業生産性を重視するアメリカのハイドロポニックス発祥の国の有機認証制度の運用の違いであり、アメリカ農務省傘下の全米有機農業プログラムには認可できる有機システム投入資材の基準がはっきり設定されているのです。
其処にはハイドロポニックス栽培の生産者をあらかじめ門前払いすることなく、全ての有機栽培認証を取得するに必要な認可資材のリストが用意されており、其の中には肥料、栽培媒体、殺虫殺菌薬物等、有機認証栽培で利用できる認可資機材が、はっきり網羅されて決められて居るのです。
―オルガニックのホビーアクアポニックス―WebImagesより
其の有機認証ハイドロポニックスの三大要件は、有機肥料のハイドロポニックス用変換であり、一般土壌に替わる有機栽培条件を満たす栽培媒体と栽培システムの選定であり、有機栽培要件を満たす殺虫、殺菌管理、その防除手段の選定とあります。
それらを定めているのが、全米の有機栽培要件を満たすに必要な資機材の評定機関である 「オルガニック マテリアル リビューインスティテュート」であります。
それでは此処で話が替わりますが、関連する有機生産物に就いての大変興味の有る 「オーガニック食品のみ2週間食べ続けるとどうなる?」と銘打ったスウェーデンのスーパーマーケットが実施したと言う実験の話がネット上に有るのを見つけました。下記に其の記事をコピぺ致しますので、先ずはお読みください。
―スウェーデン人一家が実践―オーガニック食品のみ2週間食べ続けるとどうなる?
普段オーガニック食品を食べていない一家が、オーガニック食品のみを2週間食べ続けるとどうなるのか、スウェーデンのスーパーマーケットが実験を行いました。
その結果、実験開始前に尿検査で検出された多くの殺虫剤や除草剤が、実験後の尿検査では激減。
特に子供たちの減少傾向が顕著で、3歳の男児の検出量はほぼゼロになったそうです。
実験台となったのは、スウェーデンに住む、40歳の父、39歳の母、13歳の長女、10歳の次女、3歳の長男の5人家族。
実験方法は、まず1週間オーガニックでない食品を食べ、その後2週間オーガニック食品(野菜、果物、肉、魚など)を食べてもらい、最初と最後の1週間の尿を検査する、というもの。
洗剤やパーソナルケア用品、繊維製品には抗菌成分が入っていることが多く、それにより実験結果が変化する可能性があるため、オーガニック期間中は、それまで使っていた洗剤から抗菌成分のない洗剤に変え(シャンプー、リンス、スキンケア用品は抗菌成分がなかったためそのまま使用)、新しい衣類やタオル、ベッドリネンなどを使わないようにしたとのこと。
タバコを吸っている父親は、オーガニックタバコに切り替えたそうです。
検査したのは、食品や人体から検出されることの多い、以下の12種類の農薬。
l 2-メチル-4-クロロフェノキシ酢酸(シトラス系フルーツの除草剤)
l エチレンビスジチオカルバミン酸(ワイン、ブドウの殺菌剤)
l アトラジン(除草剤)
l クロルピリホス(ワイン、ブドウ、オレンジの殺虫剤)
l チアベンダゾール(リンゴ、ナシ、オレンジの殺菌剤)
l 3.5-ジクロロアニリン(イプロジオン、ジウロン、ビンクロゾリン等の代謝物:レタス、ワイン、ブドウ、トマトなどの殺菌剤)
l ボスカリド(トマト、イチゴの殺菌剤)
l 2.4-ジクロロフェノキシ酢酸(除草剤)
l 3-PBA(ピレスロイド等の代謝物:穀物、果物、野菜の殺虫剤)
l プロパモカルブ(キュウリ、レタスの殺菌剤)
l クロルメコート(ブドウ、穀物の成長促進剤)
l メピコート(穀物、コーヒーの成長促進剤)
結果は、父親のみ、クロルメコートとメピコートの検出量がオーガニックを食べる前と同じか微増したそうですが、母親と子供たちはすべての農薬の検出量が激減したとのこと。
特に、3歳の長男と母親の減少率が最も高く、長男の検出量はゼロに近い値に。
オーガニックでない食品を食べていた時の農薬検出量は基準値内だったそうですが、あくまで個々の残留農薬としての許容量であり、複数の農薬の相互作用と長期的な影響に関する研究は非常に難しく、未だ十分な研究結果は出ていないとのこと。
実は、オーガニック食品摂取後の農薬検出量に関しては、10年以上前から多くの研究機関が調査しており、同様の結果が発表されていましたが、このように、ひとつの家族が対象となりビデオで紹介されると、とても分かりやすいです。
ビデオの中のお母さんの言葉、実験前と後でこのように変化しています。
実験前 「オーガニック食品は高いし、うちは大家族だから・・・」
実験後 「子供たちの体から大量の化学物質を排除できるのに、また摂取させたいとは思いません。」
結局のところ、何を食べるかは、それぞれの家庭が責任をもって選ぶしかないということでしょう。
―アクアポニックスのイメージイラストーWebImagesより
以上ですが、日本は先進国の中では有機農産物の普及度が特に遅れている一方で、世界一の農薬散布大国であり、もしも日本で同じ様な実験を行ったとしたら、どんな結果になるのか想像してみてください。
日本の農産物の農薬漬けの実態を、身を以って知る機会になると想像するに難くありません。
―皮ごとリンゴが齧れるのは今や昔の話です!
何しろ今の日本人は二人に一人が何らかの癌を発症すると言われ、高齢化社会に有っては五人に一人は認知症になると言うのですから、食品や人体から検出されることの多い農薬の検査結果、多分オルガニックの持つ意味の大切さ、皆さんの理解に大いに貢献する事は確かと思います。
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