白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―オルガニック農業のファンダメンタルス―

2015年09月13日 | 農法

先のブログの記事の中で、有機野菜の「有機」の持つ真の意味、正しく理解されている方が、一体どれだけ日本には居られるでしょうか。」と、大層な言い方を致しました。

有機野菜は法制上の規定に従って生産する事で許される呼称であって、農生産物の品質価値を表わすには当たらないと言うのが、そのブログでの主旨ですが、「然らば何を以って、有機(オルガニック)に替わって呼ぶべきか」と問い返かえされたら、如何応えたら良いかと自問自答しています。

 

―オルガニック農法のイメージ写真ーWebImagesより

因みに、農水省は有機農業を 「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと、並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」と定義して居ます。

其の化学的に合成された肥料及び農薬を使わず、並びに遺伝子組換え技術を利用しないと言う事の意味、化学合成肥料や農薬、並びに遺伝子組換え技術が環境への負荷となる原因であり、それに替わって有機肥料で育てる野菜だから 「有機」と呼ぶでは喩え慣用表現とは言え、聊か短絡思考であり、それで真の意味をと申したのです。

 

―オルガニック認証制度のマークーWebImagesより

扨て、その基を正せば「有機農業」の原点は、20世紀初頭の1920年代にヨーロッパで始まった、農業の産業革命と呼ばれた、急速に近代化される農業に対する保守的な小作農民の反対活動の台頭からであって、その思潮の精神的な支えとなったのが、ドイツの神秘主義哲学者、ルドルフシュタイナーの生命哲学であり、後に「バイオダイナミック農業」と呼ばれた、独特の思想に基く自然感にあったと言われて居ます。

 

―ドイツの神秘主義哲学者、ルドルフシュタイナー

その旧来の古典農法を有機農業とした始まりは、「オルガニック」と言う用語を世界で最初に命名したイギリスのケントの貴族、ウォルター・ノースボーン卿であり、彼は前述のルドルフシュタイナーの生命哲学に基いて 「バイオダイナミック農業」を自らの農場で実践し、それでオルガニック(有機)農法を提唱したと言います。

しかし、今や世界で多くの先進国が持続可能な農法の一つとして位置付けて、行政がその推進を支援するに至った「有機農業」、その時代背景は大きく変化して居り、過ってのオルガニック(有機)農法と比べると考え方や理念は大きく違って居ます。

其の重要なテーマは、自然生態系を守って地球環境を保全する時代要請と農業生産活動との両立にあります。

 

ウォルター・ノースボーン卿の著書―

それは新しい時代要請の中に有って、然るべき農業生産活動を模索する過程で皮肉にも、再登場と相成った過っての「有機農法」への復古思潮であり、そのオルガニック農法への思想回帰こそ、自然の生態系を守り、地球環境の保全に繋がると捉えたのでしょうが、その踏襲への考え方は一方では、今日の有機農業を自縛する状況に至り兼ねない事も確かです。

 其の今日の有機農業の原点ですが、それは第二次世界大戦後のアメリカで始まった、化学肥料と化学農薬の多投に支えられて規模拡大して来た慣行農業に対する批判の高まりであり、其の反省であります。

規模拡大には農地の集約化が起こり、結果的に取り残される形となって生活が厳しくなった小規模な家族経営農場の団結が始まって、本来あるべき姿の農業を求めての模索から生まれたのが、其の反省からの農業生産性と地球環境の保全の両立を標榜してのその農産物を地域市場毎に提供する、自発的な地域農業の生産活動であります。

やがて其れが、有機農業生産活動の組織化となって進み、其の活動を受け入れて、有機農産物を求める消費者の賛同を得て全米に拡大し、法制度化で守られる形となって発展したその農業生産方式が、今日の真の意味のオルガニック農業であり、有機農産物であります。

 

―アメリカの大規模農業の収穫風景WebImagesより

欧州で端を発したオルガニック農法が、時代の流れと共にアメリカで再現されて開花し、さらに世界的に発展するに至ったのが今日の有機農業であり、今日の市場経済の中で充分に受け入れられて、其の環境保全と両立できて、更に高い農業生産性を維持して行くには、その持つ意味の生産環境の自然生態系の保全が最大限に守れる事をはっきり示しながら、其の農産物の実質価値を消費者にはっきり分からせる事であります。

其の両立の価値が、今日の「有機農業」の重要な論点であり、其れを充足できる農業技術の革新こそが、今当に有機農業には求められている課題であります。

 

―農家の生産物直売は伝統の地域市場販売法です!WebImagesより

言うなれば、前世期の有機農法の理念に自縛されて土壌にだけに拘ることでは無く、先にも申しました持続可能な農法としてさらに発展させられる、土を離れる、土に替わる媒体利用の施設園芸農業へも拡大できる様な新しい農法の誕生が望まれます。

それは農業土壌の物質循環機能には限界があり、それ故に外部から資源(肥料))投入が必要なのであり、其の量の制限が必要と言うならば、その土に替わる高機能媒体の利用はあって然るべきと考えられるからです。

 そんな意味から先のブログでは、有機質肥料の養液栽培への利用の話を取り上げて見たのですが、唯、有機農法の理念の踏襲に拘り、土に拘る農法思想からの脱却が思うように進まない「しがらみ」では、それは前世紀に造語された「オルガニック」という用語の「亡霊」に惑わかされているのであり、今では適切な用語とは言えない「有機」の持つその意味、その農産物を受け入れて支える立場にある消費者の意識改革しか、此の農業の更なる発展の道は無いと考えます。

 

―オルガニックファ‐マーズマーケットーWebImagesより

いろいろと講釈を並べて見ましたが、実はアメリカで発展した有機農業の理解の恰好な情報となる 「オルガニック農業のファンダメンタルス」と題するPDF記事を、アメリカのアイオア州立大学の公開講座のネット上で見つけました。

其処に有ったアメリカの有機農業のコンセプトに関する序説、2002年と一寸旧いのですが、其の触りの部分の一部を一寸ご紹介させて頂きます。

  オルガニック農業とは何か?

アメリカ合衆国農務省の全米オーガニック認証基準委員会に依れば、有機農業は、生物多様性、生物の循環、土壌生物活動を促進し、向上させる環境保全の生産管理システムであります。それは、生態環境を残して維持し、或いは生態系と調和する為に、外部からの投入資源を最小限する管理を実践する事であります。」

「その基本ゴールは、人間、植物、動物、土壌生命体が相互依存している共同体、その健康と生産性を最善化する事にあります。」

法に依って、“オルガニック”と規定されていても、其の用語は、“自然”とか、”環境にやさしい”のでは有りません。其のラベルに含まれている意味は、ある種の有機的な方法で食材が生産される事を示していますが、法に従って完全に有機に沿って実践されているとは保証されません‥‥」とあります

  

―土壌は物質循環の要とするのがオルガニック!ー

「新有機農業」、敢えてはそう呼ばせて頂きますが、これはルールを作って実行される新しい農業生産方式が其の基本です。

それは、其の正しいルールの理解無しでは成り立たない農業と言う事であり、其のルール、目的に合わせて変えていく事も亦大切であって、それを支持し発展させるのは、その農産物の消費者であります。

其のルールを知らなければ、“チンプンカンプン”のスポーツ観戦と同様であり、産物の真の評価は出来ません。先ずは、ルールを周知させる事であり、それが理解できる世代から育てなくてはなりません。

 

 ーこのマークだけ見てはチンプンカンプン!-

アメリカでは、年率20%で成長していると言う有機農産物市場、其の最大の購入層は若い世代であり、大学教育を受けた消費者であると、前記の「オルガニック農業のファンダメンタルス」の中に有りました。

差し詰め日本なら、有機農産物の化学農薬を完全に締め出している其の健康への寄与度、健康長寿社会の原点と言うのが宣伝文句になると言いたいところですが、前世紀の旧来農法の意識に自縛されている、中々技術革新の進まない手間暇が掛かる低生産性の高コスト農産物の儘では、市場供給量も足らず、とても無理な話かも知れません。

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