白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

-無農薬栽培 その意味を考える!-

2016年08月14日 | 農薬

東京では毎日炎暑が続いています。此処外房の潮風の吹きぬける海岸近くで始めた家庭菜園、僅か50坪程の広さですが、周りには緑があって吹き抜ける風は心地良く、気温も東京より一寸低いように感じられます。

思えば此処での菜園生活も今年で8年目になり、様々な野菜を育てて来たですが、中々実感できないのが、全くの無農薬で肥料も化学肥料を一切使わずに有機質肥料だけで育てて観た野菜作りの成果です。

それで今では、量を絞っての発酵鶏糞と完熟堆肥に牡蠣殻石灰での土作りに徹し、過剰施肥を控える為に元肥や追肥には肥効が容易にコントロールできる普通化成肥料に限って極力少なくする施肥管理を行っています。

本より、農薬は一切不使用を信条して始めた野菜作りであり、輪作と防虫ネットを頼りにして殺虫殺菌剤の類は全く使っていないのですが、時には苦い思いをさせられた経験が幾度もありました。

 

ー外房菜園のトウモロコシ、トマト、キュウリ、、落花生、長ネギー

扨て、いわゆる無農薬、無化学肥料による野菜栽培ですが、一般に言う有機JAS法で定めた有機野菜と言う事になりますが、何処にその違いがあるのでしょうか。
大方の人は有機野菜といえば、環境にも優しく、安全で美味しくて、栄養的にも優れているとイメージされ、無農薬なら食べても何の心配も無く、環境にも好ましいと歓迎されているでしょうが、化学肥料も亦農薬と同列に捉え、環境負荷や食べても好ましからずと思って居られるなら、それではいささか短絡思考と申せます。
中には、無化学肥料どころか無肥料の自然任せの栽培?を信奉する余り、アンチオルガニックさえ唱え出す輩も居られ、其処まで来るとこれまた話は別であります。

唯、知って置く事は、有機JAS法でも、使用できる天然物由来の農薬や化学的に合成されていなければ、化学肥料と同等の無機質肥料も亦、有機質肥料に代わって利用ができる事です。

環境にも優しく、安全で美味しくて、栄養的にも優れていると思われている?‥有機農産物の根拠となる無農薬、無化学肥料、一般常識での受け取り方とその本質的な意味はいささか異なるのであり、消費者といえども、使われている農薬や肥料についての正しい知識をある程度は持つ必要があり、余程の目利きでも無い限り、観ただけでは育てられた野菜の違い等、殆ど判別は出来ないのです。

その有機栽培の真の意味、以前にもブログでも色々と申してきましたので繰り返しにはなりますが、1980年代に趨勢となった、健全な農環境の維持保全に資する農業に特化して収穫した農生産物やその加工食品の流通消費の社会秩序を守る為に、その農法や加工法を定義して差別化し、法制化されたのが日本の有機JAS法であります。

 

―有機JASマークーWebImagesより

それを言い換えれば、農業の自然循環機能の維持増進の為に、化学的に合成された肥料や農薬の使用を避ける事を基本にし、環境への負荷を出来るだけ少なくし、生態系に支障となら無い、自然にやさしい農法を実践する農業者とその収穫物を守るための制度であり、肥料や農薬の事は良く分からなくても、その農法に賛同し、その収穫物の安全性を信頼して買い求める消費者や需要者を欺く事の無い様に、その一連の活動を守る目的の法律であります。
従って、基より有機農法が農業技術的に特に優れているとか、比較して高品質の農産物の生産の確保が図れると期待されている訳ではありません。

 

ー有機野菜のイメージイラストーWebImagesより

有機農産物は安心安全で、美味しく、栄養的に優れていると、消費者の皆さんに思って頂ける事は歓迎されて然りではありますが、其のオルガニックの解釈、国によって法制上にも違いもあり、厳密な意味では便法的な矛盾もあって、特定の農薬の使用や有機肥料以外の化学的に処理されて居ない無機肥料の農地への添加なども、その解釈の仕方で色々違って認められているのです。

 収穫物の品質や栄養価は、農法や肥料の違い、生産者の栽培技量や土壌条件、其の年の天候等に依って大いに変わるのであり、有機農法がその品質の決め手と言いう事ではありません。

 

ー規模が違うアメリカは有機農業ーWebImagesより 

そうした点で日本では、農薬、化学肥料等の利用を極力減らして環境への負荷を軽減し、農産物に残留する農薬成分を少なくして栽培管理に手抜きをしない、丁寧に作られる慣行農法を奨励する制度があります。
其れが都道府県別で行政の定めたガイドラインに従う 「特別栽培農産物認証制度」であり、品質的にも栄養的にも、むしろその制度による農産物の方が優れている場合が多く、農産物の実質的な見地からは有機JAS法より理に叶っていると思っています。

 

ー都道府県で違う特別農産物認証マークーWebImagesより

それでは此処で、環境への負荷を極力少なくする為に減らしたい農薬の使用量、その背景と問題点について考えてみたと思います。

農薬は有効期間3年の剤型別、銘柄別、会社別の申請を必要とする登録制度によって、その使用が許認可され、それには効力や作物に対する安全性、毒性および残留性など、品質の確認のためにさまざまな試験成績の提出がなされて審査されます。

提出資料に基づく品質、薬効、農作物への安全性の審査のほかに、内閣府食品安全委員会、厚生労働省、環境省、農林水産省での人や環境に対する安全性の検討・評価がおこなわれ、不都合な問題があれば登録は保留されるとあります。

しかも審査をパスし登録されても、3年経って再登録の申請がなければ自動的に失効し、また、再登録にあたっても、その間に何か問題となるような新しい科学的知見が明らかになった場合には、それについての試験成績の提出が求められます。

 

―日本農薬工業会ロゴマークーWebImagesより

そうした厳しい関門を経て使用認可される農薬には、使用に当たっての厳密な管理義務が課せられて居りますが、高度な専門知識を持たない一般の農薬使用者である農業従事者では、少ない情報の開示では、消費者の農薬に対する不安を払拭できる信頼を勝ち取れるのか疑問であり、先ずその農産物に使用された農薬を何らの形で消費者にも開示するように義務つけることが好ましいと考えられます。

農薬は厳密な審査の下で、その利用が認可されても有効期限3年の登録性であり、其の使用に当たっては慎重な取り扱い義務付けられて居り、違反すると厳しい刑事罰が科せられる事になっています。

その農薬の使用者責任に課せられているのは用法通りの使用の順守であり、使用者責任者であっても、高度な専門知識を持たない限り、自らの不安すら払拭は容易な事では有りません。

 農薬の登録制度を見れば分かるように、全ての農薬はとは言えないまでも、使用に当たっては薬害の発生等の危険要素が包含されており、法の定めに従って登録認可されれば、農薬利用者との間の合意の取り付けだけで、全て使用者の責任とする訳には行かない、受益者全体の暗黙の了解、使用合意の形成が社会通念上必要のように思われます。

農薬の持つ殺虫、殺菌、除草の作用機構、人を含めてすべての生きとし生けるものの生命活動の阻害であり、排除であり、其の持つ無差別的な抹殺効果、その安全性が定められた用法の遵守で担保されているだけであり、その原点となる使用責任に社会全体の信頼が醸成されない限り、農薬の安全性は成り立たないと言う事です。

 

―典型的な農薬散布シーンーWebImagesより

厳しい言い方をすれば、現状は農薬も亦、私企業の利潤追求の場であり、開発され登録されて来た農薬の数は膨大であり、競争もあって多くの情報の公開は無理であり、当然不利益となる潜在危険情報等、明らかにされる道理が無く、其の歴史を顧みれば、使用危険が明らかにされて排除された農薬が社会問題化する理由を作って来た事は歴然としています。

 今亦、最先端の安全農薬とされた 「ネオ二コチノイド系殺虫剤」 ミツバチが大量失踪する群崩壊症候群、EUでは使用停止されるなど、世界的に物議を醸しています。先のブログ ハチが農薬入りの餌を好み 殺虫剤の依存症になる?」で取り上げた話が世界中に伝えられて居ながら「ネオ二コチノイド系殺虫剤」の農産物の許容残留成分の基準量が、日本では大幅に拡大すると言う暴挙が先年罷り通りました。

 

―殺虫剤は天敵も道ずれにするーWebImagesより

使用認可されている農薬の農産物の許容残留成分の基準量の緩和には、収益の増大に狂奔する私企業の要求?それに応えて改定を許す行政側とお墨付きを与える学者たちの無責任感覚があり、農薬の使用者責任と消費者を欺く卑劣な行為の正当化でしかありません。消費者はそれを知らないでは済まされないのです。

 

―受難のミツバチのイメージ写真ーWebImagesより

これで又、日本のミツバチの農薬害は一層拡大するのであり、「ネオ二コチノイド系殺虫剤」の全面禁止となる日まで、ミツバチだけではなく人間も又、暫し潜在危険にさらされる生活に耐えねばならないという事です。 

今日の農薬の管理行政では、農業従事者、農薬販売業者、防除業者、ゴルフ場業者などにおける指導的な立場にある者が農薬の適正な使用を助言あるいは指導を行うことを目的としての「農薬管理指導士」と言う認定制度を設けられています。

その目的は、農薬の実質的な使用者の農薬の適正な使用の助言、指導であり、その立場は裏返せば農薬の使用喧伝者でもあり、助言や指導で無駄や危険な農薬散布の防止が出来ても、農薬使用の実質的削減よりも、それが農薬の使用拡大に繋がるのであり、農薬の使用量は増えても減ることは無いのです。

 

ー楽な農作業などありません!-WebImagesより

それに代わって有機農法や「特別栽培農産物認証制度」に於ける減農薬を推進指導できる管理士なる者の登場が出来れば強く望まれます。

その最大のネック、どこにあるかと言えば、除草剤をはじめ、農薬は農業生産活動の省力化に繋がるのであり、農薬使用に弊害があることは承知していても、使用者には背に腹は代えられないのであり、採算さえ取れれば、そのツケは消費者廻しで済むのあり、農薬会社や農薬販売業者にすれば、如何にに多くの農薬を使わせるか狂奔する問題構造が其処に生まれているのです。

こうした社会事情を変えられるのは、有機認証栽培や「特別栽培農産物認証制度」の拡充や更なる優遇制度の推進であり、その見返りは、言うに及ばず、国民全体の健康に資する食の安全であり、心身の健全化に繋がっての環境にやさしい持続可能な農業の望ましい姿への変換であります。

 

ー四国土佐のマンゴ園ーWebImagesより

先日、安倍内閣の新農林大臣が、出身地の農業で、一つ1万円のマンゴは飛ぶように売れるという話を披露して、日本農業の可能性の高さを語っていましたが、儲かれば良いのが農業ではありません。

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