白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

落花生の収穫無し!

2012年10月07日 | 野菜栽培

先日、外房の菜園で収穫期を迎えた今年の落花生を掘り起こしたのですが、収穫が1週間程遅れた為か、ハクビシン?が侵入して掘り返され、9割方食い荒らされて殆ど収穫出来ませんでした。更に残されて鞘実に今度はカラスが寄って喰い散らかし、堀上げて見ると良くぞここまでと思われる程、綺麗に食べ尽くされていました。

 

―ハクビシンは農産物食害の元凶動物―Wikipediaより

当地近辺でのハクビシンの農産物の食害は日常茶飯事であり、毎年、トウモロコシや西瓜では、全滅に近い被害を受けているので作付けは見合わせているのですが、サツマイモと落花生は、収穫期まで上手く見つからずに済めば、被害に遭う事も少なく、毎年作る事にしていたのです。

 

―外房の落花生畑―WEBイメージ写真より

このハクビシン、日本固有種か外来種かはっきりしないのですが、鳥獣保護法での守猟獣となっている事から、勝手に駆除する事も出来ず、夜行性で学習能力が高く、一度その味をしめると、毎晩のように侵入し、近接する林地につながる草地には、しっかり「けもの道」が出来ていました。

 

―ハクビシンのけもの道―

扨て、其の落花生の話ですが、千葉県は全国一の生産地と言い、国産落花生の7割方が千葉県産と言います。2010年度の落花生の国内生産高(殻付き)は16200トンとあり、日本の総需要から見るとその占める割合は1割程度しか無いのです。そして、その国産落花生は高率の輸入関税で守られています。

 落花生の関税率は、ウルガイラウンド交渉で、コンニャク、米に次いて合意を取り付けた農産物であり、国の腐心の対外交渉と業界団体への巧みな連係指導により、やたらな競争原理が働かないようにして生き残りを図る市場対策が其処にはあるようです。

 

―びっしり莢実の付いた落花生―WEBイメージ写真より

輸入品の市場占有率が9割を占める中で、何故に、国産落花生が高い関税で守られているのか大変興味の湧くところであり、その経緯が何処にあるのか、一寸その栽培の歴史の背景を追って見ました。

落花生が日本に入って来たのは江戸中期とされていますが、「南京豆」とも呼ばれ、それ以前に中国から琉球に伝わり、「ジーマーミ」(地まめ)の名で、既に早くから栽培されていたらしく、其の名は貝原益軒の「大和本草」の中にも記述があります。

 

―沖縄の郷土料理のジーマーミ豆腐―

それが、アメリカから入って来た種で、日本で一般的に栽培されるようになったのは明治初めであり、国の奨励もあって、千葉県の貧栄養の海生砂質土でも栽培可能な換金性の高い作物として定着したとあります。

はじめは、落花生を絞って作るピーナッツオイルが、西洋人の好むイワシの油漬けに適するので、千葉県の沿岸地域で捕れる鰯の油漬けの大産地となりうると、栽培が奨励されたそうです。それが食べ方も良く分からず、其の加工技術も無く困リ果て、それを県が買い上げて東京で販売を開始したところ、予想外の好評で、高値で売れる結果となり、其の栽培が一層盛んになったと言います。

 

―今では珍しく無いオイルサーディンー

文明開化の波に乗って、殻煎り落花生が「ハイカラな食品」となり、「スナック」としての市民権を得たと言う事でしょう。明治の中頃から生産が拡大して、一時は輸出もされ、千葉県では大正6年に生産のピークに達したそうです。

 それが、太平洋戦争中には、落花生は嗜好ぜいたく品とされて栽培が統制され、千葉県の産地はサツマイモ畑に取って替わり、統制が解除されて、やっと落花生の生産が再開したのは昭和26年と言います。

 

―終戦後の買い出し列車風景―Webイメージ写真より

私事で恐縮ですが、其の統制時代に現地で自家用に密かに作られた落花生を、昭和21年に疎開先から東京に戻った亡母は、「買い出し」で、両国駅から外房の某所まで週に何度か通い、当時食べ盛りであった私達子供の為に、背負い切れない程のさつま芋の中に隠しては持ち帰り、近くの菓子屋さんにそうっと売渡し、其の利ざやで買い出し費用を補って、一家の食糧難を凌いだのです。

軽くて金額の張る落花生は、発見没収されるヤミ米よりもリスクが低く、利潤も良くて、当時のインフレの最中での亡父の安月給を大いに助けたようです。

 

―焼野原の中の隅田川と向うの両国付近―米軍提供写真

其の落花生の生産は、戦後再開して年々増加し、昭和38年にはピークの年産144、000トンに達したのですが、その後は、市場価額の低迷や輸入品との競争に生産性の向上でも追い付かず、他の野菜栽培にとって代わって作付面積もどんどん減り、千葉県の生産量はかっての10分の1に減ってしまいました。

 

―残したい日本の落花生―Webイメージ写真より

しかし、昔は輸出するまでに生産量の伸びたこの優れた栄養特性を持つ国産落花生を、市場価額競争で生き残れないと、その栽培の歴史を閉じて安い輸入品に頼って消し去る事は誰しもが、「善しとはしない事」は自明です。

 今、落花生の輸入制度は採油用と一般食用に分かれ、搾油専用種の輸入は無制限で関税も無税であり、一般食用に限って輸入量を需要に合わせて10%の関税の割当制とし、それを越えて自由に輸入する数量には、1kg当たり617円のオファー税率となっています。

 しかし、この617円/1㎏の税率を見て、多くの方が、なんと高率な関税と思われるかも知れません。確かに、輸入原価は市況にも依りますが1kgで100円前後であり、600倍以上の関税率と言う事です。

 

―加工食品となったピーナッツーWebイメージ写真より

しかし、実態は加工品となった20数%の税率の輸入落花生食品が多くを占め、特にその原料が、農薬汚染で物議を醸している中国産製品が大部分であり、其の潜在リスクには、販売関係者は大変苦慮していると言い、それを気付かない消費者が多いのです。

 そして、安心して食べられる千葉県産の国産落花生は、昔からの味付けされていない殻煎り落花生であり、その素朴で、落花生特有の甘味と香ばしさは何とも言えない美味しさです。高価で品薄で入手も容易でない事から、毎年、其の落花生を自ら産地の外房で作る事にしているのです。

 

―高級品となった千葉産殻付き落花生―

ご存知のように、落花生は栄養的には、高い不飽和脂肪酸の含有量に、ビタミンEや豊富なミネラルと葉酸を含む栄養価の高い大変優れた高カロリーの非常食にもなる食品であります。安価であれば輸入食品で充分とするには、忍び難いと思われている方も多いのではないでしょうか。

尚、落花生栽培は大変容易で、プランター栽培でも簡単に作れます。興味があれば、是非挑戦して見てください。名のとおり開花して子房が垂れて落下し、地に潜る姿がみられます。

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