白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―やさいの生鮮貯蔵 あれこれ!―

2016年05月24日 | 野菜栽培

家庭菜園では育てた野菜が一度に収穫期を迎えると、量的にどうしても食べ切るのが難しく、ある程度保存が出来ないとせっかく作っても無駄になる事が多々あります。

野菜には沢山の種類が有り、本質的に貯蔵性の良いものと悪いもがあると言い、保存期間は比較的限られるのであり、玉葱、ジャガイモ、ニンジンのような台所の3大貯蔵野菜並みには中々行かないのが何とも残念でなりませんと、先のブログの台所の3大貯蔵野菜の中でも申しました。

 

―これが欧米の典型的な家庭菜園の姿です!―WebImagesより

実は其の野菜の貯蔵法に就いて、先日図書館から借りて読み始めた本の「野菜の科学」の中に、野菜の生鮮貯蔵の項目があり、鮮度を保持するには低温冷蔵、常温貯蔵、高温処理貯蔵法、ガス貯蔵法やその他の貯蔵法などが有り、それらの貯蔵法が色々と記述されて居りました。

一般家庭での生鮮野菜の貯蔵にそうした知識が何処まで活かせるのか、大変興味を以って読ませて頂いたのですが、そうした専門的に実施される野菜の貯蔵法、生産者にとっての鮮度維持は、元より市況に合わせての出荷調整に高く寄与し大きな経済効果を生み出しているのであり、野菜の一般の消費者には、得てして知る機会の少ない情報ではないかとも思われて、一寸紹介して見たくなりました。

 

少量多品種栽培が家庭菜園の理想です!WebImagesより

野菜類の鮮度保持、其の種類や季節によってその実施方法は異なるのですが、葉菜類のホウレンソウや小松菜など、比較的短期間でしおれや変色が生じ、品質低下が大変起こり易いのです。

それも亦、収穫期の気候や温度によって大きく違うのであり、冬季の白菜やキャベツともなれば貯蔵性は大変優れていると言います。

其の鮮度保持で大切なのは温度管理であり、特に気温の高い夏季に収穫される野菜類では、呼吸、蒸散が旺盛であって鮮度低下が著しく、一刻も早く冷却して、低温状態に保つ操作が先ずは必要と言います。

其れが野菜の予冷作業であり、今では収穫した野菜は決してそのまま出荷せず、必ず品温を下げてから出荷する方法が取られて居ると言います。

 

―芝生の中の菜園、外房菜園も真似ています!WebImagesより

其の予冷法には、冷蔵庫内での強制通冷却、差圧通風冷却、真空冷却、冷水冷却等があり、野菜の種類に合わせて適切な冷却法が採用されていると言います。

最も多いのが冷蔵庫を利用した差圧冷却法であり、それで一般家庭でも、適切な包装と冷蔵庫の野菜室の利用が尤も好ましい鮮度維持の保管法で有り、何よりも確かな方法と判りました。

 

―外房の家庭菜園を始めた当初の収穫物―

それでであっても大切なのは、野菜の種類ごとでの貯蔵限界であり、其の主要な貯蔵条件は貯蔵温度と関係湿度に有ると言う事です。

例えば、台所の3大貯蔵野菜の玉葱では、0℃、湿度65~70%で6~8ヵ月であり、ニンジンは0℃湿度90~95%で4~5ヵ月、ジャガイモでは、3~10℃、湿度は90%であり、その貯蔵限界は表示が有りません。

2℃で貯蔵した北海道のジャガイモでは、秋の収穫から翌年の6月まで萌芽が完全に抑えられるとあります。

それだけに計画出荷が最も容易な野菜と言う事のようですが、其の温度設定が難しく、低温貯蔵(0~5℃)では含まれるデンプンの糖化が進み、0℃で貯蔵したイモでは内部褐変、空洞化現象が発生すると言います。

其のデンプンが糖化して水溶性糖が増えると本来の風味が失われ、チップやフライにすると褐変し品質の低下の原因となり、それが温度を10℃以上に上げると可逆的に成り、糖が再びデンプンに戻ると言います。

 

―外房菜園の収穫前のエレファントガーリック、ジャガイモ、玉葱―

扨て、その他の野菜では、特に多く食べられているのが夏野菜のトマトやキュウリ、ナスやピーマンであり、それらの野菜は家庭菜園でもお馴染みですが、其の適切な貯蔵温度と湿度での可能な貯蔵限界はどうでしょうか。

先ずトマトで見ると、彩色期と云いますから早採りしての追熟中のトマトでしょうが、貯蔵温度10℃で2週間であり、キュウリは10~13℃、関係湿度90~95%で15日とあり、ナスでは7~10℃で関係湿度85~90%で、7~15日とあります。

それがピーマンでは、貯蔵温度10℃、関係湿度90~95%で、1から3カ月とあるから一寸驚きです。

 

―外房菜園で収穫した910gの巨大玉葱のソニックー

一方秋から冬に収穫されるダイコン、キャベツ、白菜で見ると、いずれも長期貯蔵が可能であり、大根は葉付きでも0℃、90~95%の関係湿度で30~40日とあり、葉切除では、2~3カ月となって居ます。

キャベツでは、秋冬、早生とで一寸異なりますが、0℃、90~95%の関係湿度で、秋冬ですと3カ月であり、早生ですと2カ月とあります。

 

―外房菜園の春取りの無農薬栽培キャベツー

それが白菜では、産地間での差異があり、0℃、90~95%の関係湿度で45~75日とある千葉、神奈川に対し、埼玉園試では90~120日と大きく違っています。

それにホウレンソウですが、収穫期の季節で亦大きく変わるのであり、貯蔵温度0℃、90~95%の関係湿度であっても、21~28日とある一方で、其の包装資材により、半分の7~14日とされて居ます。

昔は収穫された野菜を保存するには自然条件頼りであったので、太陽熱、風、寒気、雪等に、塩や酢を利用する貯蔵加工に頼るしか無かったのですが、野菜は貴重なビタミンやミネラルの栄養源であり、収穫後の野菜の保蔵は、一方では大切な自給生活活動に密着した最も重要な作業で有りました。

 

―外房菜園の堀上乾燥中の玉葱と隣のジャガイモー

それが今日では、多くの生鮮野菜が季節に余り関係なく、何時でも入手可能であり、一方では冷凍野菜、乾燥野菜、缶詰や調理済の加工野菜食品など、スーパーなどの店頭には豊富に陳列されて居り、都市に住んで便利な消費生活に馴染んだ都市住民となれば、野菜の生鮮貯蔵など、聞いても無縁の話でしかありません。

唯知って置くことは、収穫後の野菜は尚も生存エネルギーを得るために呼吸を続けて生きているのであり、其のエネルギー消費によって品温が高められ、其れが品質を害するのであって、特に収穫後の外的環境の湿度と温度の影響が大変大きく拘わっているのであり、それで野菜の貯蔵では低温多湿が大切な要件となるのです。

 

―外房菜園の西瓜、すべてハクビシンに喰われ全滅でした!

それでは此処で、日本で唯一ジャガイモだけに許されている、長期保存の為の発芽防止の放射線利用に就いて一言申させて頂きます。

ご存じ方も多いとは思いますが、コバルト60という放射性物質を用いてガンマ線という放射線を貯蔵するジャガイモに照射して発芽を抑止しているのです。

其の発芽防止の作用、言うまでもなく放射線が細胞の設計図の働きを持つDNAに損傷を与え、細胞のDNAが複製される時の細胞分裂を阻害するのであり、それでジャガイモの発芽を放射線によって止めるのです。

植物の芽の部分は細胞分裂が盛んなところであり、放射線を照射することでDNAが切断され、発芽しなくなるですから空恐ろしい話です。

 

―じゃがいもの放射線照射室―WebPagesより

勿論、ジャガイモにガンマー線を照射しても、放射線は放射物質では有りませんから、ジャガイモ自体が放射性物質で汚染されるということはありません。

ただ問題は、放射線障害で生きている植物の正常な生理活動が阻害された結果の事であり、食品としての人間がそれを食べても、何の影響がないのか如何かと言う事です。

動物実験の結果では、サルと2種類のネズミに実際にこの照射じゃがいもを餌として長期間食べさせても これらの動物への悪影響は認められませんでしたとあり、このネズミに子供を生ませて遺伝的影響も調べましたが、心配するようなことは無かったと言う事であります。

 

―放射線照射済のジャガイモの表示―WebPagesより

専門家の間でも意見が分かれ、日本では食品への放射線利用はジャガイモの発芽防止だけしか許可されて居ないのであり、世界でもドイツやスイスなど、全面禁止している国もあるのです。

一方、アメリカ、中国、チリ、フランスなど、世界27か国では、特定の食品の腐敗防止、殺菌、殺虫対策として放射線照射は行われていると言います。

 

―アメリカの放射線放射表示マークーWikipediaより

日本では世界に先駆けて73年(昭和48年)から北海道のJA士幌町でジャガイモの発芽防止に実用化され、現在もジャガイモだけが認められているのですが、其の表示義務も課されています。

スーパーなどの店頭に並ぶ、1個売りされるジャガイモにそんな表示を見掛ける事は先ず有りませんが中国産など輸入品もあり、その実態は定かでは有りません!

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