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eラーニングに関する情報、つれづれなる日々の写真日記

Martin Parrトークショー

2007-07-14 | 写真

イギリスを代表するフォトグラファーであるマーティン・パーの写真展、
Fashion Magazine」が東京都写真美術館(恵比寿)で開催されている。
今回は、この写真展にあわせて来日した彼の作品解説付きトークショーが
あるというので出かけてきた。

ヴィヴィッドな色彩がまず目に飛び込んでくる。
「Fashion Magazine」というタイトル通り、ファッショナブルな洋服を身に付けた
女性や、宝石をまとった野菜など、撮られた対象たちはあくまで華やかだ。
しかしよく目を凝らすと、それらは単なるファッション写真ではなく、
ひとつ残らずして彼特有のアイロニーやウィットを反映していないものはない。

セネガルの行商人の青年が1ドルに満たないようなジャンクを山盛り抱えて
いる中に、800ドルもするシガレットケースを混ぜてみる。
もちろんフェイク、それは非現実ながら、その情報を知らなければ
その写真はジャンクを抱えたセネガルの行商人、としか映らない。

数十万ユーロはするような高価なジュエリーを身に付けた老婦人たち。
広告写真でそのような宝石を身に付けているのは若くて美しいモデルなのが常識だ。
しかし現実の世界では、そうしたジュエリーを手にすることができるのは
ごく限られた上流階級の年配の女性であったりする。

彼の写真観を貫くコンセプトに「Wealth(富)」があるという。
80年代イギリスの労働者階級の文化の激変とその中の大衆の不安を
経験していることが意識の根底にはあるのかもしれない。
貧困にフォーカスをあてたフォト・ジャーナリストは数多くいれど、
逆に富をシニカルにアイロニカルに表現した写真は珍しい。

ファッション・デザイナーのポール・スミスは自身のデザインの服を提供し、
マーティンのアイロニーを逆にポジティブに受け入れ写真展などでコラボレートしている。

世の中の常識を、暴力的にではなく、あくまで淡々と揶揄しながら
ソフィストケートされた世界がとても魅力的だった。

写真家から直接撮影裏話を聞くと、作品が全然違って見えるものだ。

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