もちつきうさぎ

ぺったんぺったん、もっちもち!
ハートのおもちつきでスマイル満開なエッセイブログ。

花の江戸子、なにわをゆく 10

2007-03-05 | 旅のおはなし(花の江戸子)
~ホンマのどろんこ!~

暑い、暑い夏の日に大きな石を
ひっくり返したことがあるだろうか?

そこには
涼しげな顔をしたアリたちが
せっせと自分たちの世界をつくり上げている。


“ふすまお絵かき”(花の江戸子~9、参照)に描く
息子の絵は、だんだんと
アリたちのつくる回廊のような世界に似てきた。

「これ、なあに?」ときくと、

「せっけいず~。」と答える。

・・・・なんだろう?フシギな絵に首をひねった。


社宅の砂場はどちらかというと、
赤ちゃんたちのいこいの場だった。

だからかどうかは知らないが、
息子は幼稚園や小学生のお兄ちゃんたちと
本来ならお花を植えるのであろうスペースで
連日のように土と戯れていた。

ある日、その場に迎えに行ってみると
そこは・・・・

ペルーのマチュピチュ遺跡か、それとも水の都ヴェネチアか~!

と思わせるような
ものすごいお堀が出来上がっていた。


彼のいう「せっけいず」とはこれだったのだ。


東京のお砂場ではお山をつくったり、プリンの型をとったり、
という遊びの息子だったが、
いつの間にやらダイナミックな男になっていた。


ホンマのどろんこ!だった。


それから少しすると、
彼は自分の描いた「せっけいず」を片手に
自らが思い描いた「水路」を完成させるべく
行動しはじめた。

お兄ちゃんたちの協力もあって
それはそれはすばらしい「水路」が出来上がった。
水が流れていったとき、まわりのみんなから歓声があがった。


あの遠い夏の日に見たアリたちの世界。

そして、今、目の前にひろがるどろんこの世界。

どちらもこわしてはいけない大切な世界だった。




Comments (2)
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