秀策発!! 囲碁新時代

 「囲碁は日本の文化である」と胸を張って言えるよう、囲碁普及などへの提言をします。

電力問題の未来3

2012年09月03日 | 囲碁と、日本の未来。

3;商人の心意気

.震災前には余るほどの電気を作って大々的なキャンペーンまでしていながら、震災後は足りないからと節電や電気料金値上げの要請をしている。これを商人根性と批判する人もいるでしょうが、まともな商人であればこんな事はしない。誰だったかは忘れてしまいましたが、
「品切れで売る物が無いなんて商売人にとっては生き恥」
と語った人がいます。余った時にはどんどん売り付けておきながら、足りなくなれば我慢と値上げを要求する。これは、大塩平八郎の乱や、大正時代の米騒動と全く同じ構図。
一方で日本には松下幸之助という偉大な経営者がおり、彼が唱えた《ダム理論》という商人の心得があります。現在の電力会社の経営者もまた有能であるならば、この二つも当然学んでいるはずなのですが……


.供給体制の問題、安全規制の問題、福島県の原発事故の要因は専門家等が指摘しています。その中で私が注目しているのは、過剰なまでの原発依存体制。原発は安定的で安全に電力を供給できると過信するあまり、いわゆる原発村に関わりの無い学者や技術者が発表した新しい発電技術に関心をまるで持っていない事。あるいは知ってはいても排除してきたのでしょうか。
.TBS系列『夢の扉』で取り上げられたある技術者。彼の自宅には、彼の研究に注目しているスズキ自動車の鈴木修会長が通っている。これは、鈴木会長がその技術の可能性を正当に評価しているからで、大手かどうかの企業規模は関係無い。もしも大手電力会社の経営者が新しい発電技術にもっと注目しそれを取り入れていたのなら、もしも15年早く脱原発への方向性を示していたのなら、あれほどの事故には至らなかったはず――
本物の経営者とは、自分が経営する会社の利益を考え、従業員の生活を守る事は当然の役目。その一方で、自分達の会社の営利活動が他の企業や社会にどんな影響をもたらすかを配慮しなければなりません。
.同業他社はライバルであり、新規参入は望みたくもない。こんな大手企業の意思が市場の独占・寡占といった問題の引き金となります。しかし、同業他社と競争する事で新しい知恵が生まれ、市場が拡大し、結果として会社の利益が増える事もあるのです。

.偏らない事は大事、これは電力問題以外でも同じ。例えば、世界各国で人気が上がっている刺身や寿司。魚介類は獣肉よりも低カロリーであるからというのが理由で、日本の様に生のまま食べる人が増えているようです。とはいえ、急増する消費に合わせて無計画な漁を続ければ、海洋資源が枯渇するのは目に見えています。ウナギは天然物がうまいからと言って世界中でそればかりを食べていてはいけない。今は養殖物も旨いですし、比較的大量に獲れる他の種類の魚もあります。あるいは味はいいのに、消費者が知らないと言う事で売れず、市場に流通しない魚もあります。海洋資源の保護の為には、特定の種類に片寄らないよう配慮する必要があるのです。