熱帯果樹写真館ブログ

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グアバは種で増やすと化ける話

2009年10月06日 | グアバ
 当サイトの掲示板で「グアバは種から育てると、親の果実とは別の品質の果実がなります(人間の子どもが親とは別人なのと同じ)」と書き込んだところ、予想以上の反響がありました。
 そこで、グアバの実生繁殖と果実品質について、もう少し詳しく書きます。

 まず、グアバには様々な系統があります。

 グアバは、果形により「洋梨型 pyri-form(var. pyriferum Linn.)」と「苹果(リンゴ)型 pome-form(var. pomiferum Linn.)」に大別され、さらに洋梨型をpear guava(果面青淡黄色平滑、果肉白~淡緑、甘味多、肉質軟、強香気の多数優良品種を含む一群)とkafir guava(別名:caffree guava)(大果で果面にイボ状突起と溝があり、外見がシトロンに似て、品質やや良、一花叢3果を結ぶことがある一群)に分類されます(岩佐、2001)。



写真1・2:グアバの果型:洋梨型(左)と苹果(リンゴ)型(右)


 また、沖縄県の栽培現場では、果形よりも果肉色を重視する傾向があり「赤肉系(ピンク肉系含む)」「白肉系」「黄肉系」等と呼ばれることが多い様です。



写真3・4:グアバの果肉色:左から赤肉、白肉、ピンク肉



写真5:グアバの果肉色:黄肉


 さらに、最近では果実収穫後に追熟し果肉が軟らかくなる「クライマクテリック型」品種と果実収穫後は追熟せず果肉が固い「非クライマクテリック型」品種という分類が加わっている様です(謝、2005)。

 この他に「果実の大小」「糖度の高低」等の様々な要因が加わり、グアバには多くの系統があります。

 この多くの系統が、それぞれ交雑(所謂、異系交雑)するわけですから、偶発実生から生じる株の果実特性は、これまたバラツキます。
 グアバが栽培されている世界各地の熱帯地域では、私が知る限り例外なくグアバは偶発実生により多系統が生じている様です。
 マレーシアの農政省では、グアバ導入初期(~1970年)は7品種しか記録がありませんでしたが、1990年には31種類の地域品種が記録されていたという報告もあります(Wong、1990).

 そのため、もし偶発実生で優良な特性を示すグアバが得られた際は、栄養繁殖(接木、取り木、挿し木等)で増やさなければ、親樹の優れた特性は受け継がれません。
 ただし、私の経験上、グアバの接木(切り継ぎ)はなかなか成功しません。取り木で増やした方が無難かもしれません。
 因みに、台湾では寄せ接ぎ、マレーシアでは芽接ぎの成功率が高いとされています。
 
○参考文献
 ・「図説 熱帯の果樹」.岩佐俊吉.2001.㈱養賢堂.
 ・「植物保護図鑑系列 番石榴保護」.謝鴻業.2005.台湾省行政院農業委員会動植物防疫検疫局.
 ・「THE MAJOR FRUITS - AN OVERVIEW」.William W. W. Wong.1990.IN-HOUSE WORKSHOP ON FRUITS.ARS, Tenom.




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2 コメント

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No title (森ちゃん)
2020-05-10 17:41:19
GUAVAjuice一本飲みました。休息で嗜みました。
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グアバジュース美味しいですよね。 (ねこがため)
2021-01-21 19:11:18
>森ちゃん
私もグアバジュース大好きです。
ミックスジュースにグアバが入っていると一気にトロピカルな感じになりますし。
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